第86話 鎖

「カエルさん、返事は?」


冥王が真剣な顔で俺の事を見てくる。最初は冗談かと思ったがその表情で冗談でない事がわかった。


この時、冥王の境遇を聞かされて同情してしまっていた。


そう、魔がさしたのだ‥。


「ゲコ(ハイ)。」


この時は所詮はカエルに対する冗談だと思ってました。


冥王は俺の返事を聞くと、顔から感情が消える。


「今、ハイって返事したよね?私のプロポーズ受けたよね?確実にハイって言ってよね?もう取り消せないからね。」


こわ!

一方的に喋られて恐怖しました。


「フフ、わかってる‥。冥王の私とカエルさんが結婚出来るとは思ってないわ。お母様に聞いた事があるのよ。並大抵の魂では私の魂には太刀打ち出来ないって。私と対等の強さがない駄目なのよ。」


冥王がまた悲しい表情に戻る。


「面白いものを見せてあげるわ。ほらよく見て。」


冥王がそう言うと何かの呪文を唱える。


すると冥王の左手の薬指に淡く光指輪が現れる。


その指輪にはかなり細い鎖が結ばれていて、その鎖が俺の方に伸びている。


「面白いでしょう?お母様から聞いた話だと婚姻が結ばれると、この銀色の鎖が赤くなるらしいのよ。」


冥王が悲しい目で見る鎖は銀色だった。

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