第59話 家探し

 モニカのご両親への挨拶も無事終わり宿屋で一晩過ごした後、冒険者ギルドに来ていた。


「おはようございます。」


フローラさんが和やかな笑顔で迎えてくれた。


「おはようございます。今日は宜しくお願いします。」


こちらも挨拶して話を進める。


「何件か候補を見つけたので実際に見てもらいたいと思います。」


フローラさんの案内で家を見て回ることになった。




「狭い。」

魔王様は気に入らないようだ。


「風呂がない。」

魔王様は気に入らないようだ。


「部屋が少ない。」

魔王様は気に入らないようだ。


「センスが悪い。」

魔王様は気に入らないようだ。


魔王様が気に入らないので中々決まらなかった。


「困りましたね。今の物件が最後だったのですが‥。」


フローラさんはひたいの汗を拭った。


「もう終わりか?それにしても狭い屋敷ばかりじゃないか。どこかに貴族の屋敷でも売りに出んかのぉ‥。」


魔王様が無理難題を言い出した。


魔王様の話を聞いてフローラさんが反応を示す。


「いや、でも‥。」


フローラさんは悩んでいるようだ。


「どうかしましたか?」


フローラに声を掛ける。


「実は‥、とある貴族様の屋敷が売りに出てますが中々買い手がつかないのです。」


「何か問題があるの?」


「築3年で広さも抜群で部屋数も多くて、大浴場もあります。」


「それなら人気出そうですね?」


「それが‥。」


フローラさんが言いにくそうだ。


「出るんです。」


「出る?」


「幽霊が出るんです!」


フローラさんが青い顔をしながら訴えかけてくるのであった。

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