第21話 論破

「隠しても仕方がないので正直に話しますが、実は私は別の世界からやってきた人間なのです。誰が何の為に私をこの世界に連れてきたのかは今の所は分かっていません。」


 俺が急にカミングアウトを始めたので執事さんと魔王様が驚いた顔をしていた。途中で魔王様が執事の顔を見て、何かを確認していた。何となくだが俺が嘘を言っていないか確認していたようだ。


 俺は話を続ける。


「私がいた世界には奴隷など存在しません。ですので奴隷を持てと言われて、はいそうですかとはなりません。」


 さぁ、どうでる?

この言い方だと魔王様も傷つく事はないと思うけど‥。


「奴隷がいなかった事は理解しました。」


執事さんが納得してくれた。


ヨシ、勝った!


「ただ‥」


ん?


「魔族の世界には『それはそれ、これはこれ』『郷に入っては郷に従え』と言う言葉があります。貴方はこの世界に来たのです。この世界の習わしに従うのが良いのではありませんか?」


「は、はい。そうですね。」


思わず執事さんの正論と迫力に押されて返事をしてしまうのであった。

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