第2話 深夜のバルセロナ

 スペインのバルセロナ。マドリッドと並び、治安が悪いことで有名な都市だ。とくに夜が危ない。

 金を持っている日本人を狙う、首しめ強盗がでる。

 首を絞めて、気を失ったところで金品を奪う。西洋人は大きい。日本人は小さい。圧倒的に不利である。危険だ。とくに夜は。

 私はこの都市に24時過ぎに着いた。


 思い起こせば、ローマのテルミニ駅からチャンピーノ空港(日本人がよく利用するフィウミチーノ空港にあらず)に行き、どこにでもいるはずの日本人旅行者が皆無なことに笑い、スペインへの出発便が1時間以上遅れたことに不安になる。


 普通に着いても22時30分着だったのだ。もう絶望的。治安の悪いバルセロナに、深夜に到着すること大決定!

 飛行機は離陸し、着陸した。

 空港ビルにはイミグレーションもなく、通過。私はガイドブックのバルセロナ空港を見て、バス停を探した。


 ない。

 歩く。

 ない。

 あれ?


 私は空港内のバルセロナ行のバスのブースを見つけていたので、しょうがなくそこでチケットを買った。高いのだ。ガイドブックとずいぶん違う。

 バスは走り始める。ガイドブックの時間とずいぶん違う。ずっと長く走っている。はて? どういうことか?


 私はここで真理に到達した。

 つまり、飛行機はバルセロナに着いていなかったのである。

 チャンピーノで乗った飛行機の行き先はジローナとあった。ローマの空港フィウミチーノのように、単にそれがバルセロナ空港の名前だと思っていた。

 違っていたのである。

 ジローナはバルセロナからバスで1時間ほど北東に行ったところにある都市で、バルセロナでは全くなかった。


 かくして私は深夜にバルセロナのバスターミナルに到着したのだった。

 旅行者にカタルーニャ広場の場所を聞くも、わからず。

 バスもない。タクシーは嫌だ。とにかく歩くことにした。

 どこのバスターミナルから歩き始めたのかもわからなかった。無謀なことをした、と歩きながら思った。どこへ歩いているかもわからない。

 とにかく怖い。とりあえず折り畳み傘で武装する。両端は金具であり、襲ってきた者に一撃を与えると痛いはずだ。


 広い通りにでた。明るい。人もまばらだがいる。しめた。これで人に聞ける。

 ナイトバーの前で、英語でカタルーニャ広場の場所をスペイン人老人2人に尋ねる。英語を解さない風だったが、カタルーニャ広場というスペイン語に反応した。

 向こうだよと教えてくれる。グラッツェとイタリア語で礼を言ってしまう。礼の言葉が似ているので、着いたばかりは、スペインでグラッツェと礼を言い、イタリアでグラシアスと礼を言ったものだ。


 歩く。つかない。

 多少不安になり、高級ホテルに入った。泊まるため? そんなばかな。地図をもらい、道を聞くためである。

 英語が難なく通じて、現在地とカタルーニャ広場の場所を特定できた。

 目的のカタルーニャ広場の近くに来ていたようだ。

 そして カタルーニャ広場に到着。深夜なのに人が多い。安心した。人が多いところは安全という感覚がある。暴行に関してであり、テロに関してではない。

 ランブラス通りで宿を探す。1軒、2軒、3軒、4軒すべてだめ。満室。

 私は途方に暮れた。こんなにホテルが見つからなかったことはない。

 結局、私は50ユーロのトリプルに泊まることになった。部屋ひろいなー。いきあたりばったり、予約なしの旅ではこういうこともある。

 部屋に入り、背負った荷物をおろしたのが午前1時半。眠ったのは2時過ぎだろう。


 バルセロナ。さいわい犯罪にあうことはなかった。バルサのサッカーゲームも観戦することができた。ロナウジーニョ2得点、1アシスト、1攻撃の起点で大活躍だった。しかし、この都市ではホテルで連泊できなかったのだった。毎日ホテルをかえて、3軒にとまった。

 私はホテルを決めたら連泊する。観光に都合がよいからだ。朝から出かけられる。しかし、それがかなわないとなると、午前中はホテル探しに費やされ、観光時間が減るのだ。

 ホテルの予約は外国ではしたことないけど(この当時は)ときには重要です。


 バルセロナといえばオリンピックか、サッカーチームか、ガウディ。カテドラル(大聖堂)も美しい。しかし、カテドラルは私が訪れたときは、外装を修復中だった。残念。


 ガウディ建築のいくつかが世界遺産に登録されている。サグラダ・ファミリア(聖家族大聖堂)は未完成ゆえ未登録とか。


 聖家族大聖堂。未完成ながらも、さすがに圧巻だった。まだまだ完成は遠い。8本の尖塔が完成していたが、その8本より高い尖塔がまだ何本も立つという。完成図を見ると、その完成は夢ではないかと思われるよう。(たしか)これから造られる一番高い尖塔は、170メートルとか。ありえない高さだ。

 内装も独特。森をイメージしたとかで上にのびる柱は、幹が複数の太い枝に分かれるように上層を支えている。

 ガウディが設計したグエル公園も面白かった。他WEBサイトで見られる写真を見ていただければわかる。言葉ではなんとも表現しがたい。

 抗議したいことといえば、グエル公園は無料だが、そのほかのガウディ建築の入場料が安くないことだ。

(当時)サグラダ・ファミリアは8ユーロ。カサ・バトリョは10~16ユーロ、カサ・ミラは7ユーロ、カタルーニャ音楽堂はガイド付きで8ユーロ。

 ガウディ建築でお金取りすぎ! ではないでしょうか。

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