第1話遅刻します

今日、道の真ん中で猫が落ちていた。赤く潰された腹からは、何かが出ていた。


昨日、道の隅でカエルが落ちていた。ぺったんこになった体はかぴかぴに乾いていた。


気づくのは明日になるのか。

気づかれるのはそれより先になるのか。

それとも、誰にも気づかれずにいつの間にか消えていなくなってしまうのか。




俺は、遅刻常習犯。

いつだって誰かを、何かを待たせて遅れを取る。そんな性分に生まれた遅刻野郎。

最期に一度会おうと、古い友人から手紙が届いた。

これが最期だと、俺は間に合うように張り切った。

待ち合わせの時間は、手紙が届く一年前だった。


俺は遅刻常習犯。

どうしたって、どうやったって遅れてしまう。そんな、奴。




みんな。知ってるだろ?

知ってて、受け入れてくれるから、いつだって俺のこと待っててくれるんだろ?




こんな俺でも、みんなは振り返って見てくれるんだろ?

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