ポンコツ魔術師のパーティー再加入作戦
シャーロット
パーティー追放
何故かパーティー追放されちゃいました
「レイジ、お前このパーティーから出ていけ」
「はい?」
パーティーの仲間たちが俺の目の前に並んで深刻な顔をしている。俺にパーティー追放を告げたのは、幼馴染でありこのパーティーリーダーであるキリヤ・アストレイ。
そもそもパーティーとは? という疑問に関しては、この国の産業が関係してくるので説明はこの場を収めてからするとしよう。
「なんで……?」
当然の疑問である。俺は特にこのパーティーで何かをした覚えがない。
「なんで? マジかお前?」
「ちょっと待て。俺が何かしたか?」
「何もしてないからだよ……仕事もしてないだろうが」
なるほどそれが理由か。
「パーティーで仕事に出る時必ず遅刻してるな?」
「朝が弱くて」
「それは聞いた。だから、じゃあ仕事は他よりしろって俺は言ったな? お前ダンジョンの最中何してた?」
「皆がモンスターと戦ったり、採掘してるのを、大変そうだなって思いながらタバコ吸いながら見てた」
「なんでだ」
「皆が頑張ってたから」
「お前も頑張れよ」
至極真っ当である。だがしかし俺にも男として譲れない部分がある。
「俺は、女の子達より力が無いのを、自覚したくない……!」
「自覚しろ。受け止めて体を鍛えろ」
「それは出来ない」
「なんでだ」
呆れたように、キリヤが頭を抱えている。俺も自分にもっと力があるなら今より少しだけ仕事を真面目にやってた様な気がする。
「まあいい。お前の実力不足を理解してて、女所帯で気まずいからとパーティーに誘ったのは俺だ。そこは目を瞑る。だが私生活はどうだ」
「至って普通だ」
「そんなわけは無い。お前このパーティーにいくら借金があるか分かってるか?」
「いっぱいだ」
「それは普通じゃないって事だ」
「返す気はある」
「3ヶ月前にも同じ事を聞いた」
確かに言った覚えがある。そこから借金は不思議な事に一切減っていない。
「借金もこの際構わん。返すあてが無いのを理解してて貸したのは俺らだ。だがお前一昨日自分が何したか覚えてるか?」
「過去は振り返らない主義だ」
「振り返れ。見直せ。シロナ、何されたか言ってやれ」
「わ、私ですか……!?」
シロナと呼ばれた女の子が口を開く。俺と同じ魔術師の子で、回復魔法と風や水を利用した魔術を得意とする優しい子だ。
「えっと……魔術の練習をするから杖を貸してくれと言われまして、貸しました」
「自前の杖は何処にやったのかという質問はこの際想像がつくから聞かないでおく」
タバコとギャンブルのために売ってしまった。魔術を使うための必需品なので非常に困っている。
「で、お前その杖どうした」
「質入れした」
「なんでだ」
「お金が無かったからだ」
「その理由で許されると思ってるなら一度専門に見てもらった方がいい」
「酷いことを言う奴だ」
「お前は酷いことをする奴だ」
俺の精神に異常は無いはずだ。多分。
「わ、私は怒ってませんから。キリヤさんが見つけて買い戻してくれたので杖もこの通り」
壁に立てかけてあった杖を持ち上げるシロナ。優しい子だ。
「甘やかすなシロナ。とにかく、幼馴染というだけでお前をこれ以上パーティーに置いておくのは俺たちにとってもお前にとっても良くない」
「なるほどな。そこまで俺の事を思ってくれてたのか」
「そこまで思ってるわけではない」
せっかく好意的に解釈したというのに。
「みんなと相談した結果、借金は一旦そのままで良いから、一度パーティーを抜けて一人で生活して仕事をしろ」
「非常に嫌だ」
「諦めろ。で、全員の借金を返せるくらいになったら戻ってこい。というかパーティーに再加入するし無い関係なしに金は返しに来い」
「なるほどな。良いだろう。パーティーは出ていく」
「なんでそんな上から目線でいられるんだ」
だがこのまま外の世界に放り出されるのは非常に困る。
「退職金は貰えるか」
「絶っ対にやらない」
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