失敗作なんて言わせない。
ぐみ
プロローグ
人類が機械を発明してから数百年。レザネイト電力が開発した発電技術によりエネルギー革命が起こった。エネルギー革命によって文明はまた大きく発展することになる。
レザネイト電力は今や国で1番の企業になり、レザネイトグループを設立。レザネイトグループトップの会社、レザネイト電力はレザネイト商事に名前を変え、食品産業、天然ガス、自動車、都市開発、その他諸々多数の事業に手を広げていった。
レザネイトグループの優秀なエンジニア達が開発する優秀なAIによって人類は過酷な労働から解放されていった。だが、これが結果的に多くの人間の職を奪い、人間を衰退させていく事になる。
シンギュラリティにより文明は急速に発展し繁栄を謳歌する富裕層。
職を奪われ、生活に苦しむ貧困層。
いつしか完全な格差社会になっていた。
都市の周りには笑い声の一つもない混沌としたスラムが広がっている。
そこは社会に適応出来なかった者で溢れかえっていた。
銃声、悲鳴が鳴り止まず、腐敗臭が漂う咽るような街の中、一人の少年が生まれる。
その少年はその時代のどんなコンピューターも敵わない程の頭脳と人間離れした運動能力を持っていた。家族はレザネイトグループの研究機関にその少年を預ける代わりに一級の生活を約束され、少年はレザネイトグループの研究機関に収容される事になる。
その少年の頭脳をAIに生かし、AIを完成させるという計画『レプリカント完成計画』のためにクローンが生成され、実験に利用される事になる。もはやそこに倫理など無かった。
研究者たちは何度も何度もクローンを作ってテストを受けされるが、テストの数値がオリジナルを超える事は無かった。
月日は流れ、ついに研究者達はオリジナルを凌駕する程の能力を持つはずというクローンの作成に成功する。研究者達は直ちに様々なテストを受けさせた。結果は運動能力も計算力も、オリジナルはおろか今までのクローンの足元にも及ばないものだった。それは失敗作と呼ばれ、成功を確信していた研究者達から反感を買い、酷い扱いを受けた。
ただし研究者は知る由もなかった。研究者達は何も間違っていないと。この個体は後に『リク』と呼ばれるようになり、世界を大きく変えていく事になると。
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