第4話 入学する話
「初めまして。アーちゃん…… わえはロゼリアのリーダー、ヴァルナダ・ブンヌ・シャンスよろしくね♡」
「あーちゃん…… ?」
突然のあだ名呼び、しかもかなり恥ずかしい系統のあだ名だ。
けど、あまりの威圧感に口答えなどできなかった。
「君はうちに入りたいんだってね?」
ヴァルナダさんは片側の口角を少しあげニヤッと笑う。
「は、はい! でも僕はこのパーティーに入る資格は… 」
「ないと? 」
「はい」
「確かに君は見た感じ魔力の影もスキルの影も一切感じない」
流石にこのレベルの人には一瞬で見抜かれてしまうようだ。
「けど、それだけじゃない何かを感じる」
ふと後方から声が聞こえたかと思うと、ヴァルナダさんはいつの間にか僕の真後ろに立っていた。
「君に覚悟があるのなら、ウチに入ってもいいよ♪」
「……… え?」
あまりにも軽々しく発せられたその言葉に、反応が遅れる。
「いいんですか? 」
「うん☆ 」
もちろん、イナさんは抗議する。
「姉さん! ちょっと待ってくださいよ! こいつは基礎訓練がまったくなってないんすよ」
「わかってるよ、イナちゃん♡ だからこの子には冒険者育成学校に入ってもらおう」
「え? 学校? 」
イナさんは目を丸くしたあと、僕の方を見る。
「お前………… 育成学校行ってないのか? 」
ヴァルナダさん以外の好奇の目に晒されて僕はおずおずと口を開く。
「え、はい…… そうですけど。そんな人沢山いませんか? 」
するとルリルが僕の肩を掴む。
「あの、アレンさん。Aランク相当に値する冒険者の方で育成学校に通ってない人はいないんです。」
続けてヴァルナダさんも話し始める。
「そう、それにSランクの冒険者になるためには育成学校の卒業は必須なのさ。だから君がうちに入りたいというのなら、まず育成学校に行きな。それまでは仮メンバーとしてウチに籍を置いてあげる☆」
ヴァルナダさんは軽くウインクをすると、また物凄いスピードで移動して去っていった。
「あ、あの! 僕手続きとかよく分かってないんですけど」
僕は去っていくヴァルナダさんの背中に問いかける。
「あぁ、そこら辺はテキトーにやっとくからアーちゃんは来月からの入学にそなえてねぇ〜♪」
~1ヶ月後~
「えー、今日からこの7組に入ることになったアレン君だ、みんな仲良くするように」
僕はロゼッタ冒険者育成学校に入学することになった。
ザワザワとするクラスメイトを他所に担任のアドル先生は淡々と紹介を進める。
「じゃあ、何か一言ある? 」
抑揚のない平坦な口調で先生は僕に話をふる。
僕はそうですね、と呟きクラスメイト達を見渡しながら純粋に感じたことを口にした。
「えと、今日からよろしくお願いします! 僕は魔力もスキルも全然使えないのですが、こんな実力者揃いのクラスに入れてもらえて貰えて光栄です。精一杯頑張ります! 」
僕はこのクラスを見て、心が踊る感覚だった。
こんなにも強い能力を持っている人達とこれから勉学を共にするのかと思うとワクワクする。
そんな僕の感覚とは真逆にクラスメイト達は僕の言葉に良い反応を返してくれなかった。
むしろ何だか怒っているように感じる。
「てめぇ、それは俺たちに対する嫌味か!? 」
クラスメイトの1人で見るからに血の気の多そうな男子生徒が声を上げる。
「え、いや全くそんなことは」
「君、ウチの学校は実力でクラス分けをしているって知ってる? 」
またも抑揚の無い平坦な口調で、先生が話に問われる。
「はい、だから僕何かがこんな上位のクラスに― 」
「ここ7組は学年で最下位の実力がねぇーゴミの掃き溜めなんだよ!! 」
さっきの男子生徒が声を荒らげる。
えぇー!
こんなに才能のある人達が集まっているのに最下位なんて、先生達は何を見て評価しているのだろうか?
<あとがき>
できるだけ高頻度にしたいですが、3日に1回がベースです!
火曜日、金曜日、月曜日です!(土日もするかも)
投稿時間は20時です!
評価やコメントとして頂けたらとっても嬉しいです!
学校編はじまります!
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