第1章 一学期の学園祭

第4話 学園祭とニホンザル


 あの後。

 俺は、10分休みと昼休みをフル活用し、寝不足を少しだけ解消した。


 そして今、今日一番楽しみじゃなかったイベントに直面している。




……………………………………………………


【やっと5月も中旬、そんな日の7限目】


……………………………………………………





 窓の外を見れば積乱雲が浮いている。

ああ、もうこんな季節か……


『学園祭』


う、うわぁぁぁぁぁぁ。いやだぁぁぁぁぁぁ


 この学校は少し珍しい事に、一学期に学園祭を済ませてしまう(面倒臭い事は早めに終わらせる!先生に習ったよね?)


 ちなみに俺達2年生は学園祭では全校生徒の前で劇を発表する、この時間は劇の方向性や役割を決めるための物だ。


 いや別に学園祭当日はいいんだけどさ、それまでの準備の日がいやなんだよ。


 だって


 学級委員「それでは、これから私達はどんな劇をすれば良いか考えましょう!」


「ウェーイwww」


「よっしゃー!」


「やったるぜー!」


 マジ?こんな発情した猿と共同作業?俺のケツ大丈夫か?襲われたりしないよな。


「では役割分担をしたいと思います!えーと、どなたかこの劇制作のリーダーになっていただける人いませんか?男子から1名、女子から1名お願いします」


「………………」サッ


「………………」(積乱雲きれいだな)


「………………」(ふう〜)


 おいおい、ウェイウェイ言ってた奴ら黙るな。面倒くさそうなのきたらいきなり目逸らすんじゃねえ!


「………………」ダレカヤレヨ


「………………」バカ、オマエイケ


「……じゃあ俺やります。」スッ


 誰かが後の方で手を上げた。


 おおー! 誰だこの勇者は! お前サイコーだよ、末代までたたえてやる。


 そう思い後ろを振り返ると…そこにいたのは、ウンコだった(自称クラスの中心)ペカー


「俺がやります。(大事な事なので2回言った)」


 お前ドヤ顔してんじゃねえぞ、ああん?

末代まで呪ったる。


「ありがとうございます!では"ウンコ君"で意義がない人は拍手してください!」


「……パチパチ……」


「パチパチ……」


 ワロタ、拍手の音ちっちぇーwww(by主人公)

 まぁもちろん俺も拍手してないんだけど。


 ちなみにウンコ野郎の本名は出す気はない、需要もないだろ。


「じゃあ、どなたか、女子からも……」


「…………」


「…………」


 女子もいないのかよ。


「……アタシがやりゃあいいんっしょ?www」


 この自信ありげで腹立つ声は……!

 クラスの女子のドン、ヤバ美!


「うわー、ヤバ美さすがー!」


「ヤバ美アリガトー(棒)」


「え?ヤバ美とウンコがリーダー?最強じゃん!」


 女子がヤバ美様を褒めてる。大変だね……


「では、ヤバ美さんで意義ない方は拍手してくださぁーい!」


「パチパチ!パチパチ!」


「パチパチ!パチパチ!」


 軍隊みたいだな。

 チラッと隣の女子、カナを見てみると。

 あ!コイツ拍手してねえwww

 嫌いなのかな?


「…………おーい、カナさーん笑」


「な、何?」


 俺はスッと両手を差し出して、『パチパチ』と拍手を見せてみる。


「!!!」


 あ、反応みるにコイツやっぱりわざと拍手してなかったんだな。


「…………セキグチ…………」


「なwにw?」


「コレ、ヤバ美には言わないでね……」


 言わねえよ!どんな最低野郎だよ!

(俺の最低発言は心の中で留めてるからセーフ判定なのである)


「なに、苦手なの?」(ド直球)


「…………うん、てかストレートだね!?」


「オブラートに包んだほうがよかった?『ヤバ美よりもニホンザルの方がまし?』」


「……ひどくなってるから……」


 え?マジ?知ってる。


「……ていうか、そんなの思ってるのは私だけじゃないし!」


「そうなんだね……」


「大体わかるでしょ?嫌々従ってるんだよ……ほんと疲れちゃうよ……」


 大変だね女子は




…………………………………………………


【放課後、劇で何やるかを決めた俺たちはさっそく作業に取り掛かる事になった。】


【ちなみにウチの劇は桃太郎をリメイクした話】


……………………………………………………




 もwもwたwろwうwのwリwメwイwクw


 はいークソ確定!最下位待ったなし!いや、全国の高校で何万回使い回されたネタだよソレwww


 まぁいいだろう、脚本できるまで待ってやるよ。面白くなかったらパンケーキの写真と一緒にインスタ載っけろよ?


 とか思いながら段ボールを切る。

 俺は小道具係を選んだ、こういうのは小道具係が一番楽というのが戦前からの常識!


 ギコギコギコギコギコギコギコギコ。

 ダンボールカッターで段ボール切るの気持ちいいよね。はあ〜快感


「……なー、セキグチ……」


 ホンダが話かけてくる。無視無視!

(親友<快感)




ギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコ。

ヤバい癖になりそう( ͡° ͜ʖ ͡°)




「……おい、セキグチさっきから一心不乱に切ってるけどさ、ソレ楽しいか?」




ソレ楽しいか?ソレ楽しいか?ソレ楽しいか?ソレ楽しいか?ソレ楽しいか?ソレ楽しいか?ソレ楽しいか?ソレ楽しい?(反響)




「……楽しくない」


「だろ?」


 あぶねー、段ボール切る快感に体乗っ取られるとこだったわ。ありがとうホンダ……

やっぱオマエって頼りになるな、ヘヘッ


ホンダが話を続ける。


「ここいても何にもならないから図書室いこーぜ」


「オマエ1日目からサボる気かよ……」


「まぁな、だって、俺らがいくら頑張っても面白くなんねえだろ、桃太郎のリメイクだぜ?」


 ホンダも不満だったらしい。




……………………………………………………


【俺達は教室を後にして図書室に向かった。】 


……………………………………………………



 俺には図書室の定位置がある。そこは本棚に囲まれていて図書室の司書の先生の視線が遮られる。

 今日もモチロンそこに向かう。


「!」


 なんと意外な先客が、そこにいた。


「あ、セキグチ…………とホンダ」


 カナだ、どうしてここに?まさかコイツもサボりか?サボりは極刑に処すべし、だ。


「おい、なんでここにいるんだよ?サボりか?クラスに協力しろ!」


「……セキグチ達は何しにきたの?」


「サボり」


「おあいこじゃん」


 うん。





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