第2話 LINEと典型的な童貞と

俺の青春は、今思えばこの日この時から始まったんだろう。

(物語は前話で始まってるんだけど)




…………………………………………………


【これはまた一話とは別の日の放課後の話】


…………………………………………………




 クラスの女子が、スマホをかざし俺のLINEのQRコード読み取っている。


俺「 」


女子「友達追加された?」


俺「あ、うん」


女子「よかった、じゃあよろしくねー」


 そう言うと女子はその場を離れていった。


 うっわー!女子とLINE交換しちゃったよー!めっちゃ久しぶりだな女子の連絡先が追加されるの


「…………セキグチ…………顔きもいぞ」


「!?」


 この辛辣な感想は横で様子を見ていたホンダから。


「…………俺ニヤニヤしてた?…………」


「してた、キモかった」


「………………」


 なんでこんな事になっているかと言うと、


「こんなんでニヤニヤしてんじゃねえよ、委員会メンバーのグループだろ、よろしく〜⭐︎って送ったらもうそれきり機能しないから笑」


 そう委員会のLINEグループ制作をしていたのだ。ちなみに図書委員会。

 2組からはホンダと俺の男子2人と女子2人が選出されている、図書委員会は人気がない割に仕事が楽な大穴だ。


「いやまぁそうなんだけどさ、なんか女子とのLINE交換って無駄にドキドキしない?」


「そうか?」


 あー、こいつはサッカー部で明るいからわかんねえかこの感じ……


「ていうか、お前ニヤニヤしてたけど、交換した相手の名前分かってんの?」


「…………………………そういえば誰?同じクラス?」


「同じクラスだよ…………マジかよ、今5月だぞ。」


 うわー、俺、ホンダとカナ以外だとクラスで関わるヤツいないからなー、


「…………ホンダ……あの人の名前教えて…………」



 ホンダは、はぁーとため息をついて答える


「矢上ハルカだよ」


 なんか聞き覚えあるな


「ホラ、あのウンコandヤバ美のグループの」


「ああ!あの人か」


 矢上ハルカ(以下ヤガミ)それはあの自称クラスの中心グループのメンバーの一人だ。

 ヤバ美ほどではないが、やはり派手な見た目をしていた、あのグループの中だとヤバ美の側近みたいな感じかな?

 そうかー、あのグループなのかー


「……………………萎えたわ」


「テンション下がりすぎだろ!」


 ホンダは俺の姿を見て大爆笑してる。


「セキグチは他に女子の連絡先持ってないのか?」


「いや、すこしならあるぜ」


 ホント少しならだけど。……お母さんは含めないよな?


「母親はなしだぞ」


 コイツ、エスパーかよ……


「あるわ、母親以外のもな!」


「フーン例えば?」


「……中学の時の同級生1人と……あ、後はカナのは持ってる」


「他は?」


「後の連絡先は男ばっかりです…………」


 俺が知ってる女子の連絡先は今のさっき人と、カナと、中学のヤツの4人か……(お母さん含む)


「4人か……」


「いや、母親含めんなよ」




……………………………………………………


【帰宅後】


……………………………………………………




 スマホを確認すると赤い数字が目に止まった。

 LINE着信一件。


 なんだろうか?

 あ、ヤガミからのメッセージか


『よろしくねー⭐︎』と送られてきている。


 ホンダの予想的中、やっぱ経験が違いますわ


「こちらこそよろしく!、と」


 コレ送信したら今後この人には連絡する事は一切無いんだろうな、と思いつつ送信する。


 もう今日は早く寝よう。多分3日連続くらいで睡眠時間削ってる。


 俺はベットにスマホを投げ、教科書をバッグにしまい明日の準備に取り掛かる。


「ピロン!」


 スマホが鳴った。なんだ?誰からだろうか。スマホを開く、それは意外なところからのメッセージだった。


『ところで話変わるんだけどさ、私とセキグチってコレが初会話だよね?』


 ヤガミからだ。ていうか既読つくの早すぎだろ、俺返信まで何時間か放置してたんだぞ


『そうだね』


 と、返す。『そうだね』はないだろって?

 イヤ、こういう時はどう返せばイイんだよ。しかも話した事ない人だし。

 ヤガミから返信が来た。


『そっか、じゃあ今から何か話さない?』


 はあ?何が、じゃあ、なんだ?

 意外な展開に1人戸惑う俺、自分の部屋の中をクルクルと歩き出す。

 どうしよう……めっちゃ寝たい、だけどなんか話したい気持ちもある!(下心満載)

ヤガミの事が好きな訳ではない(下心満載)

けどこの状況にドキドキする。(下心満載)


 イヤ!ドキドキしない方が無理だろ!俺童貞だし!(下心満載)


 だがここで『いいよー』とか返したら下心ありまくりなのバレるよな、そうだ!ここはきちんと断ろう!

 寝不足な俺の体のためにも!(理性)

 よく考えたらこのお誘いを承諾するメリットなんて何もないじゃないか!(理性)

 断ろう、それが正しい選択、それこそが俺が人間たる所以(理性)


俺はスマホを手に取りタイプする


『いいよー』(理性敗北)


はぁーーー!!!やってしまった!無意識のうちだったんです!いやマジでぇー。

 

せめて早く返信帰ってこい!




ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン(心拍数急上昇)




遅くね?

いや、遅くね?

なんか罠にハマったか?

クラスLINEに晒されてるとか?




「ピロン!」



来た!


『ごめん!少し落ちてた!今からいいの!?やったーありがとう!』


だってよ


 その後もLINEのやり取りは続いて俺達はしょーもない事、クラスの不満、悩みとか本当にいろんなことを喋ったのだ。

 俺にとってはこんな経験は初めてで、、、




 おい!ホンダ!一言送ったら終わるって?お前の予想は大外れだよバーカ!




……………………………………………………




本日の就寝時間 午前4時。




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