『死ぬ直前に飲む』
やましん(テンパー)
『死ぬ直前に飲む』
『これは、すべて、フィクションです。』
🛸
ある晩、職場から帰りに越えなければならない、不気味な峠を、やっこらしょと、お年寄りのマイカーで越えていたときのこと。
峠の頂上付近には、民家はなく、ひたすら長い坂道の終わりがあり、また始まりがあるわけです。
小さな駐車場がありまして、そこには、いくらか古い自動販売機が一台置いてあります。
『ご苦労様、ちょっと一息、目を覚ませ❗』
と、丁寧に書いてあります。
ぼくは、そこで、一休みします。
なんせ、通勤距離片道70キロ以上ありますから、焦っても縮まらない。
朝は、自己負担で、全部高速を使いますが、夜は、まあ、少々中抜きです。
まだ、夏には早いので、虫の声さえ聞こえない。
このあたりは、むかし、戦争があったと伝わる場所で、たまには、武士の幽霊が出たとかいわれますが、ぼくは出会っていません。
140ドリムの、かんこーしーを頂きまして、さて、帰るか、と立ち上がりかけたところに、なにかが、『しゅ〰️〰️〰️、』と、暗い空から落ちてきました。
『あらまあ。小型宇宙船ですかあ。』
と、見ている間に、それは、崖の斜面に引っ掛かるように不時着しました。
で、中から、体長50センチメートルくらいの、ぱんださんが逆立ちしたような宇宙人がよたよたと現れました。
『あの、もし、あなた。』
『はい、はい。なんですか?』
『あ〰️〰️、ご覧の通り、落ちました。わらしは、地球にいる宇宙人相手の行商してましが、この宇宙船は、実は宇宙生物でし。長年の相棒でしが、最近、うつでして、服薬さしてまし。ところが、間違えて、今回、薬切れにしまして。ここで、まあ、動くの拒否さしまして。いやあ、まいったれす。あなた、抗うつ剤とかないれすか? 地球人の薬が、こいつには劇的に良く効くのれす。はい。』
『はあ、ほんとかなあ。確かに、生きている宇宙船、とか、オカルト的には、うわさはあったけど。』
『はい〰️〰️☺️。もちろん、お礼はしまし。ふたつぶ、あれば、十分でし。このあと、アルファケンタウリに行って、ひと仕事れす。それで帰宅しまし。あと、2日で、帰れますでし。』
『ふうん。まあ、抗うつ剤なら、もってるよ。でも、自分が危ないかも。まあ、減薬試験中だし、ふたつなら、いいか。でも、責任とらないですよ。』
『もちろん。ちょっとみせてくらさい。・・・・・お〰️〰️。これなら、つかえまし。ありがとさんれす。ほら、飲め。有り難いことれす。』
『はあ〰️〰️。ほんと、飲んだなあ。』
『はいー。あ、お礼に、これ、一粒れすが。これは、死ぬ直前に服用する薬れす。地球には、まだない。かならず、死ぬ五分前から十分前に服用するの。タイミングはずすと、効かないれす。うまく飲むと、生き返りまし。あ、顔色が良くなった。じゃ、ありがとさんれす。さよなら。』
宇宙船は、ちょっとふらふらしながら、宇宙に向かって消えました。
『いやあ、これは、超常現象かしら。疲れてるなあ。帰ろ。』
ぼくは、自分の、これも疲れ気味の自動車を発進させました。
お薬は、ポチ袋に入れて、カバンの薬入れのポケットにしまいました。
💊
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『死ぬ直前に飲む』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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