第378話 レイナの自害阻止
俺は天井を見るとついぼやく。
「知らない天井だ」
この部屋がどこか分からないが、ヒナタの屋敷にいるはずだ。200人余りの女性達がいるホールに向かっていて、ホールに入った所までは覚えている。だが、そこから先の出来事を覚えていない。今もおっぱいをチュウチュウと吸いたい衝動があり、その衝動の具合から、またバブったとしか思えなかった。それと周りに何人かの気配がする。
「なあ、トリシア。一体何が有ったんだ?またバブったようだが?」
そう聞くとトリシアが説明してくれた。俺がバブった後は大変だったそうだ。俺があの女性の挑発にてバブってしまい、胸にむしゃぶりついてチューチューしていたから大騒ぎになったらしい。
すぐに引き離してから次いでトリシアの胸に俺を押し付け、暫くの間トリシアの胸を吸っていたそうだ。
そしてリギア達が皆の前で土下座をし、赤ちゃん帰りについて説明してくれて、状況を収めてくれた。何故か皆の心に響いたと言っていた。
俺が彼女達の為に無理な戦いをし、結果としてこの呪い、そう、赤ちゃん帰りの呪いを掛けられ、何年経っても解呪出来ない為、胸を見せて坊や・・・と挑発的な事をするとあのように赤ちゃん返りをするのでやめてあげて欲しいと。そして皆が涙していたという。今の俺からすると、あまりにも似つかわしくない変わり果てた姿を見て、異様な状況だと分かってくれたらしい。
そして俺が胸を吸ってしまった女性がこの場にいる事は気配から分かったので、彼女の方を見ると彼女は間髪入れずに土下座を始めた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。私、そうだとは知らずに、まさかあのような事になるとは思わなかったのです。ごめんなさい。ごめんなさい」
気の毒に思える位ひたすら謝っていた。俺は彼女の肩を掴み立たせ。
「すまない。君の胸を吸ったそうだね。痛くはないか?」
彼女は辛そうな顔をしていたのだ。
「トリシア!君もだ。レフトアイ、ライトアイ頼む。トリシア、ヒールを掛けるから準備をして」
そう言うとレフトアイが俺に目隠しをしてくれた。そしてトリシアは自ら服を脱ぎ、ライトアイが俺が胸を吸ってしまった女性の服を脱がしていた。
「すまない。少し触るよ」
まずトリシアから触り、ヒールを掛けて赤く腫れてしまったはずの胸を治して行く。そして次にもう1人の女性の胸に軽く触れ、ヒールを掛けて胸を治した。しかし、こちらの世界の者達はたかだかヒール如きで大層驚いていた。
どうも話を聞くと、回復魔法なるものがないという事で、かなり驚いていたのだ。
彼女の名はレイナという。
治療が終わり服を整えたと聞いたその瞬間、目隠しを外した俺はレイナの前に土下座をした。
「すまなかった。俺の呪いの所為とはいえ、いきなり胸に飛びついてしまい、怖い思いをさせてしまったね。痛かっただろう。すまなかった。本当にすまなかった。確かに君は・・・」
途中までしか言えず、その先を言えなかった。レイナが俺を起こし、俺の口をその唇で塞いできたからだ。
「私の方こそごめんなさい。皆の前でヒナタ様の大切な御方に恥をかかせてしまいました。死してお詫びをさせて頂きます。どうかヒナタ様に罰を与えないで下さいませ」
そう言うと懐からナイフを出し、自らの首に刺そうとしたので、俺は刃先を直接手で受け止め、自害を阻止した。刃は俺の手を貫通したが、レイラの首には届かなかった。
「駄目だ。君は悪くない。死なせるもんか。こんな事で死ぬなんて許さない。こんないい女を死なせてたまるか!」
またバカな事を言ったものである。一旦隷属契約を強制的に結んだ。本当はそんな事をしたくはなかったのだが、俺の許可なく自害する事を禁ずると発した。
彼女は俺の手に刺さったナイフを引き抜き、ごめんなさいごめんなさいと言いつつ、そのナイフでもう一度自分の首を切ろうとした。だがしかし、手からナイフを落として激しく痙攣し出した。
「すまないが、君を一旦俺の奴隷にさせて貰ったよ。俺はこういう契約を一方的にする事が出来るんだ。本当はこういう事はしたくはないのだが、君が自害しようとしているから、それを防ぐ為に使わせて貰うよ。レイナが自殺する心配がなくなれば解除するが、本当に申し訳ないと思うなら死なないで欲しい。死ぬ事は許さないぞ。君は決して悪くないし、ヒナタにも君を責めさせない。あれは不幸な事故だ」
そうやって泣きじゃくる彼女を抱きしめた。男勝りな感じではあったが、今は乙女にしか見えなかったのだ。そしてばぶった所為で覚えてはないが、何かの幻影を見たはずなのだ。直接触れた数人のメイド達に対しては何も無かったが、レイナの事を愛してしまった。そう、スケコマシ発動である。
ヒナタに対しては戦闘中で何を見たかあまり覚えてはいないが、ワーグナーの屋敷でナンシー達と一緒にいる所を見た。その時見知らぬメイドや女性がいたのだが、何となくその中の1人がレイナに似ていたなと思い出し、愕然としたのであった。
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