第4章

第350話 港

 目指していた港は、地図の表記からかなり大きな港という判断をしていた。そして第2候補、第3候補の港を設定してもらっていた。勿論俺はこの大陸の文字が読めない。


 その為、妻達に翻訳してもらったのだ。といっても目的の所を教えてもらうようにして、そこに自分でメモを書いていたのである。そうして第1目標の港に着いた訳だが、夥しい数の船に驚かされた。港に停泊しているのもそうだが、港に停泊している以外に沖合いにもかなり停泊しているので、おそらく他の港で補給などを行った後に集結した船だと思われる。


 船の作りから、どう見ても軍艦で、輸送船と思われるのもいるが、砲塔を構えた船が多数いた。また先日鹵獲した船の燃料が石炭であった事から、ここにいる船も石炭を燃料にしているものと推測される。それは煙突があるからだ。


 取り敢えず上空からタブレットで写真を撮っておく。現在港周辺に停泊している船だけでも50隻を数える。沖合いに停泊している船は500隻位になろうかと思われた。1隻につき数百人程乗れるのではないかと思われる。詰めれば倍。それ位の大きさの船が多く、輸送船はもっと乗れるのであろうと思われる。


 輸送船の数が多い。おそらく人員を輸送する為の船だと思われる。また軍服を着たような者達が大勢港におり、次々と船に乗り込んで行く様が見えた。この船はどこに向かって行くのだろう?と頭を捻る。


 とはいっても、初期評価ではワーグナーに攻め入ろうとしているのであろうと思われた。


 俺は港町の外れにてゲートポイントを設定し、調査班を連れて来た。何人かを上空に連れて行き、船の状態を見てもらった。皆一様に驚いていたが、町で聞き込みなどをし、あの船の目的地を確認しようとした。


 俺がこの町に来たストーリーはこんな感じだ。

 何でもこの町に船が大量に集まっており、船が大量の物資を必要としているからと、ひと儲けのチャンスだと噂があって確かめに来たという形で、何が儲けになるかというのを中心に確認して行った。保存の効く食料が特に必要だという事を聞かされた。

 どうも行き先は伏せられていないようで、禁断の未開の地と言われている所を支配し、そこで取れる特殊な鉱石に用があると言う。どうやら話を聞く限りは、魔石を目当てにして侵略を企ている事が分かってきた。


 他の者達も同様の聞き込みをしてきており、目的地や派遣する責任者、はたまた旗艦の名前や特徴なども把握できていたが、俺はかなり呆れていた。


 軍事行動の筈なのだが、完全にオープンになっており、市民が詳細な情報を把握できている。統制が行き届いていないのか?と思う。


 例えば酒場で兵士達がついつい漏らしてしまっているのか、と言った事が考えられていたのである。完全な出航まであと数日あるらしいので一旦その場を引き上げる事にした。


 そして総督達を集めて、対策会議を行う事になったのであった。

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