第351話 ハリボテ
俺は発見した船団をどうするかについて悩んでいた。総督達と話をするも結論が出ない。ただひとつ言えるのは、ワーグナーの通常兵力で真っ向勝負を挑むと、勝てる見込みがないという事だ。数も装備も向こうが上だ。火縄銃とはいえ、銃があり、それに船には砲弾がある。
ただし強力な魔法を使える者が魔法で対処すれば、あっという間に滅ぼせられる。俺的には出来れば1人も殺したくなかった。甘いのかも分からないが、殺して蹴散らすのは簡単な事である。
洋上でファイアーボールを数発投げてやれば、おそらく片付くだろうとは思っている。しかし彼らを殺すという事になり、それは向こうの大陸と全面戦争になる事を意味する。ただ、あの船団がワーグナーに辿り着けるかどうかは正直分からない。
途中で嵐に遭いそれにより船団が戦わずして全滅、疫病が流行ってしまい全滅、等と言った事が考えられるからである。
よしんば辿り着いたとしても、おそらく向こうは洋上からの艦砲射撃で、こちらを潰しにくるのだろうと思っている。
しかしそこは敢えて攻撃をさせ、攻撃が通じない事を悟らせ、完膚なきまで叩きのめそうと思っている。
というのも、生け捕りにしてやり、主要メンバーを奴隷にしてからゲートにて向こうの国に送り返してやろうかと思案したのだ。ハリボテの城を作ってやろうと思案している時に、ふと早苗の力を思い出した。
そういえば早苗の能力というのが、建物を再現したりの建築だったと。そうあの魔王城は早苗の能力によって作られた物である。スキルによって作るのだが、こだわりがなければ、それっぽい城を海岸部に素早く作る事が可能なので、ハリボテ作戦は決行可能である。
城を破壊するとまた城が出てくる。際限がないような絶望的な状況に追い込み、上陸したところでアースウォールかアイスウォールで閉じ込め、溺れない程度に水責めにする。また船をどんどん奪っていき、戦意を喪失させていく。帰る手段が無くなれば狼狽えるだろう。
ただ、問題は兵の数だ。1万人から10万人の間になると思われる。
船に乗る事が可能な人員がよく分からないから、1万人なのか10万人になるのか分からない。そんな話をしていると、どこからともなく、くっくっくっと笑い声が聞こえてきた。
攻撃を仕掛けてくるやんて解せないねとか、我らに歯向かうなんて馬鹿よね等々、色々と聞こえてくる。
武器の性能が元々違うのだが、こちらが魔法を使える事を知らないのだろうか?中世の船についているような砲弾如きでどうこうできる訳がなかろうに。その気になれば砲弾全てを特大のファイヤーボールで消して行けば済むのだ。又はアイスボールや何かをぶつけてやり、軌道を逸らしてやれば良い。最も一生懸命ハリボテの城を目指して上陸させ、敢えて城攻めをさせるのも一興かと思った。それで行こうという事で海から見えるところに絢爛豪華な城を築く事になった。適当に弓兵を配置し、適当な所でゲートで引き上げさせ、次の城を出現させるのを繰り返す。
ただ早苗が知っている建物でないと作る事が出来ない。見たりして頭に思い描いた建築物でないと作れないと言うので、早苗にワーグナーの城をよく見て貰い、城作りをスタートするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます