第331話 天界に行ってみた
その日の朝、俺は憂鬱だった。
折角の自堕落な生活が出来る休みの筈が、またまたタマタマ、精力的に頑張らないといけなくなったからだ。本当はブランチと洒落込みたかったんだ・・・
着替えてから朝食を済ませ、今日は総督との会議のテレポータはセレナにお願いした。そして俺はというと、天界に行く準備をする。そんな感じで午前を過ごす。生き返らせた天使の名前を確認するも、やはり彼女の名前は発音出来なかったので、シルバニアと仮称を付けた。
そして一緒に天界へ行くオリヴィア達の戦闘準備が整ったのを確認し、特殊転移術を発動した。
そうするとこの場にいた天使シルバニアの横に飛んだ。僅か1mほどだ。ちと恥ずかしかった。格好つけて発動したからだ。
この術は、任意又は不特定の天使の所に転移する術だ。会った事の無い者を指定できる。一度飛んだ先の相手は次回除外するかについて選択が出来るので、次の対象としてオリヴィアとシルバニアを除外した。セレナ、裕美、オリヴィアを伴って行くが、念の為シルバニアは置いていく。ゲートで戻れない場合、次はシルバニアの所に飛べば良いからだ。
そうしてオリヴィア、裕美、セレナを伴い、オリヴィア及びシルバニアを除くが、ランダムで選ばれた天使の所へ飛んだ。実際は一番近い天使の所に飛ぶように思える。
しかし、いきなり戦いの中心地?になっており、訳の分からぬまま戦いとなり、慌ててゲートをワーグナーに出した。間髪入れず出現したゲートに、裕美、セレナ、そこにいて殺されそうになっていた天使を文字通り放り投げ、慌ててゲートを消した。この間0.5秒位だろうか。オリヴィアは残した。
周りはデーモン?のような、見た事の無い奴らが大量にいて、オリヴィアと俺は敵を斬りまくっていた。
一時間位で周辺を駆逐し、広さ200平米位のその部屋の入り口を閉じ、更に施錠をした。
一息つけそうなのでゲートを出して、ゲートに放り投げた天使を連れてきた。
やはりオリヴィアと姉妹に思えるような外観だ。
確かにシルバニアとも別人だと分かるが、個体差が少ないようで、少し化粧したり髪型を変えると、容易に入れ替わり変装する事が可能だ。双子だと言われると信じる位に似ているんだ。
やはり名前が理解というか発音する事ができなかったので、仮称として桜と呼ぶ事にした。
髪が薄いピンクだからで、安直な呼び名だ。
「君はここで何をしていて、ここはどういう場所だ?」
「ま、まさか第1級天使様が生き残っていて、しかも見た事の無い方々ばかりだとは驚きです。私はレジスタンスの戦士で、何とか転移事務局にたどり着き、どうにかして下界に助けを求める為のルートを確保をしようとしていました。このような部屋を後4ブロック進むのですが、6ブロック進んだ所辺りで皆死んでしまい、私がこの辺りでの唯一の生き残りです」
状況を説明して貰ったが、芳しくない。
異界から異形の者達が大量に現れ、殺した天使を奴らの同族に変貌させているのだという。
一旦桜が居た居住区まで連れていって貰った。
そこは本来の居住区の1割だというが、広大なエリアだった。高層ビルがぎっしり建ち並び、普通に生活しているように見えた。
しかし、人口密度は東京の3倍はあるらしい。
しかも低級天使のエリアで、生き残っている天使は20%程度で、真っ先に襲われたのは支配階級だった。精々こちらに逃げ込めたのは4~5級天使のみらしい。一部は多分転移事務局に生き残っていると予測したらしいのだが、不明だとの事だ。
約3億の天使がいるらしいが、その中で戦える戦士は500名程度しかいない。あまりにも少ない。
本来天界に戦士はいらない。
戦士は単に趣味だとか、スポーツの延長で鍛えていた物好きしかいないらしい。
平和で争いや犯罪が無いので、戦える者がいなかったのが致命的だった・・・
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