第318話 ダンジョンが
翌日俺達は、明智君が倒されたその場所を中心に調査をする事にした。彼を倒した魔物が現れたら即討伐に移行する事として、段々と範囲を広げて行く事にしたのだ。メンバーを一極集中して調査を開始する事とし、各地の魔王探索を一旦中止にして、こちらに全員を集めた。
しかし2時間程探し回ったが発見出来ず、予定通りに範囲を広げての周辺探索に切り替えた。
そうすると早々にドラゴニュートの1人が怪しげな洞窟を発見した。
その探索グループに同行していたドロシーより念話が入り、俺はドロシーの所に向かう。刻印者の位置は近ければはっきりと分かるのだ。
そこは一見すればダンジョンではなさそうではあったが、奥がどうなっているのかまでは分からない。その為サラマンダーを送り込み、洞窟の内部の調査を命じた。
どうやら20 m程行き、曲がった後すぐに大きな空間があるというのが分かった。正確な大きさまではサラマンダーでは報告ができない為、俺は人数を限定してその場に向かう事にした。
そして洞窟の内部を確認するが、その空間には見覚えがあった。それは先日裕美と長時間過ごしたあの淫魔のダンジョンで、最初に俺と裕美が落下したあの場所の作りとそっくりなのである。
ただその空間自体もまだ作られている最中のようで、完全な形ではなくいかにも建築中ですというような感じだった。
どうやら ここに今正にダンジョンが出来つつあるというよりも、何者かがダンジョンの生成を始めたばかり、そんな感じに思えてならなかった。
そしてその場を 離れようとした正にその時に何かが俺達の前に顕現した。
そうあの時の奴だ。俺は勝手に淫魔と呼ぶが。
「 けけけけけ!そこのお兄さんは見覚えがあるね !僕の事が恋しくなって、わざわざ僕を探しに来てくれたのかな?きききききききき。いっぱい連れてきているんだね!よかったら今から皆で僕と遊んでいってよ!サービスするよ!?」
俺はそいつをライトソードでぶった斬った が、しかし 効かなかったようで切断された体が勝手にくっつき、元の状態になったのである。
「 お兄さんいきなり斬るなんてつれないねぇ。それとも僕の下半身をお持ち帰りして、いけない事をしようとしたのかなあ?けけけけけけけけダメダメ!攻撃は効かないよ。けけけけけ」
仕方がないので俺は質問をした。
「おい、お前はあのダンジョンのコアが消えたと同時にどっかに行ったんじゃなかったのか?こんなところで一体何をしているんだ?それとお前と遊んでなんかやんないぞ」
あいつは実は寂しがっていた。意外にも正直に話してきた。
どうも何者かにダンジョンの主として召喚されたらしいが、最初に一言二言何か命令をされただけで、しかも一方的に話をするとどこかに行ってしまい、会話ができていないと言う。
俺との会話も久々の会話だったらしくそれは楽しそうに喋っていた。
ただこのダンジョンを誰がどういう目的で作っているのかは全く分からず、ただ一言、自分以外の者が来たら敵とみなし排除しろ、ダンジョンに来たら実行しろという事を厳命されていたが、まだダンジョンを生成中の為ここはダンジョンではない為、俺達に対して攻撃をしなかったと言う。
そう奴は命令する内容を間違ったようである。
ここを訪れた者とすべき所を、このダンジョンと条件を付けた為、この淫魔が別の解釈で動く事ができたらしい。そしてこの淫魔はこのダンジョンを作り始めた者の奴隷にされていると言う。
仕方がないので、俺はこいつを俺の奴隷とし、このダンジョンのコアのありかを聞き出した。そしてこの部屋の片隅にある壁を壊し、その中にあった ダンジョンのコアを 引っこ抜いてやった。
この淫魔は俺の奴隷となった段階でこのダンジョンとの関連性が無くなった。前の時とは違い、ダンジョンのコアがなくなったからといって、今この場で顕現できなくなるというような事もなく、この場に留まっていたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます