第316話 シューマン山へ
俺は悩んだ末に、シューマン山へ向かうメンバーを何とか厳選した。
レニスは防衛の要としてセレナと行動を共にする。つまり護衛を兼ねる。セレナは強いが、特筆した強さはない。
シューマン山に向かう主力はドラゴニュート達になる。
突出して強い者はいないのだが、アリゾナに対して3人掛かりであれば互角になる。
そういう強さだ。
今回は裕美を連れていく事にした。
先ずはゲートで山の麓に行き、周辺探査だ。
特に何もなく、宏美がかつて過ごしていた家を確認するも、明智君の荷物が少しある位だ。
彼に寝泊まりの場所として使わせていたのだ。
特に手掛かりもなく俺が裕美と飛んで行き、魔物が出始めた辺り、つまり魔物の領域に入ったタイミングで一度下に降り、探索班を呼び寄せた。
次のポイントに俺が向かう間に周辺の魔物の駆除と、魔王や明智君の手掛かりを探して貰っていた。
実は大陸の7割が魔物の領域で、実際問題としてシューマン山の先についてはよく知られていないという。オリヴィアと裕美を交互に抱きつつ飛んでいる。体力的にかなり辛いらしいので、交代で飛んでいるのだ。短時間であれば問題ないが、長い時間だと体を動かせないので、肩が凝ったりするのだ。
5回程、距離にして200km位進み、6回目を飛んでいる時に明智君の変わり果てた姿を見る事になった。
辛うじて肉片があり、装備から明智君だと判断した。
死んでから20時間程経過していた。
ひとますこの周辺を仮の拠点とし、防衛陣を構築というか、生成させた。
その間にシェルターを出し、死体や装備の状態から探ろうとしたが、特に何も見付からない。やはり明智君に直接確認するしかないなとなり、生き返らせる事にしたので、彼の体を修復していった。今日はこれまでとし、周辺の魔物を駆除した後にセレナを呼び寄せた。
レニスも一緒に来た。セレナの護衛をお願いしていたからだ。そして、アリゾナを残し、皆をゲートで皇帝宮に送り、明智君の蘇生を始めようとしていた。
基本はゲートを出して死者蘇生を開始し、心臓が動きだしてから俺の意識がなくなる前にアリゾナが俺と明智君を担ぎゲートに入り、セレナはテレポートする段取りになっている。
準備が整ったのを確認し、俺はゲートを出して死者蘇生を開始した。
いつもの如くで頭がかなり痛くなり、心臓が鼓動を開始した事が分かる。俺はというとぐったりとなり、アリゾナに担がれながらゲートから出たが、やはりその直後に意識を手放した。ちなみに彼の息子さんは皮付きでサイズも残念だったので、多少逞しく修復をしてある。間違いなく感謝される修復内容だったのである。俺って親切だよね?勿論妻達に色目を使ったら即去勢だ。
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