第291話 探索再開と威力偵察

 セレーシャは裕美やセレナと同様にギフトやスキルを持ってはいるが、その体はただの地球人だ。ミノタウロスの体のように強靭でもなく、お腹を強く殴れば吐いたり気絶する普通のか弱き女性だ。


 やはり放射能への対処も厳しい。俺以外だとオリヴィアだけは大丈夫だったが、それは種族特性で影響を受けずに行けるからだ。


 裕美とセレナにセレーシャを任せ、冒険者登録、初心者ダンジョンに連れて行って貰ったり、妻達と交流を深めて貰う。


 一緒に行動したいが今は赦される状況ではない。

 俺は引き続き調査だ。きのうセレーシャ達と出くわした辺りから調査を開始した。


 周辺には生き物の気配は何もなかった。

 魔物もいないのだ。探索を再開する場所は爆心地から近く、今は放射能で汚染されている。


 またもやゴキブリホイホイだ。

 ではなく、奪った装置や死体を複数収納から出して待ち受ける。


 暫く端末を見ていると、遠くに反応があるのが分かるが、特にその反応に動きはない。


 50km位は離れているようなので、距離があるからかこちらには向かって来ないようだ。

 仕方ないのでこちらから出向く事にした。出した死体やらを収納にいれてから飛んでいく。


 20分位で付近に着いた。


 上空から様子見をしている。反応は6体だった。

 やはり何かの装置等を出している。隠密で気配を消していたが、何かで遮られ中に入れなかった。バリアー?だろうか、俺が触れたので警報が響き出した。当たり前だが警戒し始めている。


 しかし、俺のスキルを舐めるなよ!ふふふと唸りながら転移を試みるとあっさり中に入る事が出来た。


 隠密のおかげで気付かれてはいなさそうだ。


 そこにあったのはこの前奪ったのと同じ姿格好の装置だ。

 ゆっくり降り立つが、気付かれてはいない。警戒はしているが隠密のおかげという感じだ。


 暫く様子見をしているが良く分からない。


 装置を収納に入れるとやはり大騒ぎだ。

 先のバリアが消えたのが分かる。


 転移で上空に上がり様子見にした。

 奴らは端末で仲間に連絡をしているようで、纏まって移動を開始したが、黙って後を尾ける。


 奴らは周辺を警戒しながら走っているが、マラソンランナー位の速さで、かなり速い。

 あのスーツは身体能力を高めているのだろうか?それともただタフなだけなのか?


 そうこうしていると、1時間位走っていたのだが、奴らの所に飛行機?飛行艇?が到着し、6体を収容すると飛び立った。俺も後を尾けるが、俺の目一杯よりは遅く飛んでいる。5分位で基地のようなところに着いた。


 機材の数や人数からどうやら奴らの本部らしい。

 よくもまあ、これだけの資材を持ってきたものだなと呆れる。


 100m四方にコンテナが山積みだ。

 飛行機も数機駐機している。ただ、何か大きな物を組み立てているようだが、多分ゲートの大きさの制限から分解して持ってきたのか、元々そういう物なのかは分からない。

 先程飛行機についていって来た為すんなり入れたが、今はどうやらバリアーを張っている。まあ、出られるのだが。


 確か魔石に魔力を込めて眷属を生成するスキルが有ったので、使って様子を見る事にした。


 ミノタウロスの魔石にスキルを発動しながら魔力を込めると、従順な下僕となったミノタウロスが6体程出た。奴らの死体を見せながら、こういう奴がいるから、食い殺して全滅させたら戻るようにと、範囲の状況を説明して送り出したのであった。

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