第224話 レニスデイ
むー
俺は唸った。確かもみもみして貰っていて寝ちゃった筈だけど、どう見ても夕方ではなく夜中だ。
というか明け方だ。誰も起こしてくれなかった。
はあ、やっちゃった!寝過ぎたよ。ふと隣を見るとトリシアとリギアがいた。珍しくこの二人が添い寝だ。
ついつい寝ているトリシアにキスをしたら脚を絡ませてホールドして離さない。
ぎゅっと抱きしめながら涙を流している。
そうしていると段々ホールドしている力が弱くなり俺は優しく抱きしめて背中を擦る。
トリシアが寝たのでリギアを見る。彼女は先日16歳になった。二人共大人びてはいるがまだまだ子供だ。
最近トリシアがしおらしくなってきて、俺好みの行動をする。正直微妙だ。やはりトリシアは少しお転婆で元気が有るのが良いなと改めて感じている。
リギアは大人になりつつある。少し暴走気味だったが、段々淑女になりつつあり、パーティーのリーダーとしても頭角を現し始めていて、元々若手の中で頭一つ飛び抜けていただけあり優秀だ。
トリシアに続きやはりキスをする。顔を捕まれ唇を貪ってきた。そっと抱きしめて頭を撫でるとやがて寝息を立てて寝ていった。やはりたぬき寝入りだったが、俺がいない間ボレロ組を守るための要として無理をしているのが分かり、皆を守ってくれて感謝のしようが無かった。
リギアの温もりを感じていたが、ふと思い立ち風呂に入る事にして湯船に浸かっているが、やっぱりお風呂って気持ち良いね。
食堂に行くと俺が起きた時の為に食事が置いてあり、温め直して食べようとしたらレジアナとリムルが現れて準備をしてくれた。
食後レニスには駄目と言われていたが二人を可愛がっちゃった。
俺が起きたら温かい物を食べさせようと食堂の傍らで健気に俺を待っていたというので、俺は涙を流して二人を抱きしめた。
普段屋敷を粛々と運営してくれる黒子の存在だが、彼女達料理人とメイドがいるから俺は安心してダンジョン等に行けるのだ。感謝に堪えない。久し振りにまじまじと見ると、少し化粧をしたりしており、化粧をするんだ!と聞くと俺の為に化粧も覚えたと言う。
俺は皆にお小遣いを上げている。戦闘要員も後方要員も同じようにしている。
俺も心身共に満足しもう一度トリシア達の部屋で寝る事にした。
翌朝目覚めると丁度裸になっているトリシアがいた。どうやら着替えの最中だが、何故か裸になっている。
「おはようトリシア。裸で寒くないか?」
「おはようございます。ランスロット様。朝の稽古の為着替えておりますわ」
俺は頷き、トリシアの体を少し触る。筋肉の付き方が洗練されてきたのと、ヒールで治りきらなかった傷痕を見つけ欠損修復を行い綺麗にすると泣かれてしまった。ボレロに向かう道中の戦いで負った傷だった。
俺も着替え、トリシアと腕を組みながら庭に出て、皆の訓練を眺めている。そうして訓練の後各総督と少し話をして食事をし、レニスと出掛ける。
因みに先日レーヴェンと一度手合わせをし、30合程打ち合い満足したのか、「うむ。流石ですな。お嬢様を宜しくお願いします」
と託されていて送り出されていく。レーヴェンはトリシアやフレデリカ等を鍛えてくれる。アリゾナは身体能力を活かしきれていないので、レーヴェンにみっちり鍛えて貰う予定だ。
今日はレニスとのデートだ。ボレロでのデートだが、レニスのエスコートだ。何度か来た事があると言うので俺よりも色々知っているからだ。
レニスの服装はちょっと丈が短いがワンピースで、白にうっすら花柄の入った清楚なデザインだ。セクシーな格好をするかと思いきや、あくまでも戦闘の時に高揚する為に踊り子のような格好を好んで行っているそうだ。
普段は少女チックな服が好きという。
「素敵だよ!とても似合っているね!」
そう言うと嬉しそうに腕を組みしなだれかかってくる。
彼女は扇情的な格好での戦闘とは裏腹に純粋な心を持ったレディーだった。思わず道の脇に引っ張り抱きしめてキスをした。
「こんな所でもう!ばか」とぼそっと言われたが真っ赤になりもじもじしている。
彼女は24歳だが20歳にしか見えない。時折笑うのだが儚げな美女の笑顔はそれは美しかった。少し幼い顔立ちだが、上品な綺麗さの誰もが振り向く容姿だ。彼女は隙が無い。おっとりしているような雰囲気があるのだが、デート中なのだが、俺と違い常に警戒を怠らない。
これが地道に鍛錬してきた実力者たる所以なんだろうな?とついつい見とれてしまう。
午前中は街を案内してもらい、昼を食べる。俺はレニスの事ばかりを考えていて、何処で何を食べたか、美味しかったのかも覚えていない。
彼女にアクセサリー店に連れて行って貰うが泣いていた。何故アクセサリー店に入るか分かっているからだ。彼女には外で待ってもらう。渡す時の楽しみにして貰うからだ。
驚いた事にダイヤがあった。迷わず買う。鑑定しても本物だから買ったが、かなり高かった。500万もしたのだが、今の俺にははした金だ。
途中でスイーツを食べたりちょっとした出し物を見たりしていると夕方近くになる。
俺は急にレニスをお姫様抱っこをしたものだから、短く「キャッ」と可愛らしい小さな悲鳴を上げる。小高い丘から街と海を見渡す絶好のデートスポットに飛んでいった。
ベンチがあるのでそこでまったりしながら長いキスをする。やっぱり俺はお触りをするがそんな俺の手をぎゅっと握りしめてくる。彼女の鼓動は早かった。
そうしてプロポーズを行い、無事彼女の首に先程買ったネックレスを着ける。どれだけの値段の物を買ったのか彼女は理解していて口を押さえて泣いていた。
ジャックナイフでのスタンピードでは流石に死を覚悟していたし、俺がいなかったら死んでいたと俺にもう一度感謝をしていた。
その後馴染みの店で食事をする事になったが、意外にも宿屋の食堂だ。
レニスが駆け出しの頃からよく来ている店だと。
食後は屋敷に帰り、お互い風呂に入る。この屋敷では彼女は部屋がない。ジャックナイフが本拠地だからだ。
ゲストルームに居るので風呂上がりに迎えに行く。彼女をお姫様抱っこして寝室に連れていき、ベッドに座らせる。目を閉じてキスを促してくるのでやさしくキスをし、そして愛し合った。そして刻印の儀の後一緒に眠っていくのであった。
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