第207話 ボレロのダンジョン
カービングとワーグナーにて約2ヶ月分の主に調理済みの食料を皿に盛ってくれているので、それらを収納に入れていった。
俺は一旦セレナ達と一緒に出発し、馬車の中で暫しのお別れをしてゲートをだして別れた。
ダンジョンアタック組の所に行き、皆をダンジョン入口までゲートで連れていく。
そう言えば諸事情からアルフレッドとシカゴをチェンジしている。
諸事情と言っても旅の同行者にラニーニャがいたからだ。
ダンジョン入り口を見るが、幸い入口は塞がれたままだった。
俺はアイスウォールで入口を囲み、アイスアローでアースウォールを破壊した。やはり魔物がうじゃうじゃいて、特大のファイヤーボールで駆逐しつつ、中に侵入していく。そして中から入り口にアースウォールを展開し、魔物が簡単に外に出られないようにする。
魔石の数から500以上居たようだ。それもオーガやミノタウロスがドロップするような魔石が多かった。
ここもカービングと同じで岩がゴツゴツしたダンジョンだ。一瞬カービングのダンジョンにもう一度来たかと思う位に質感が似ている。
とにかく1階は魔物が多く、ファイヤーボールで駆逐する。魔石の回収に費やす時間の方が多かったりする。
ボレロ組の面々からステータスが!と唸り声が聞こえてくる。
アルフレッドの場合狂わんばかりだった。
「兄貴!やばいっす!レベルが一気にカンストしたっす!強さも1万を余裕で超えているっす!体が軽く感じるっす」
それを聞いていたミザリィも唸った。
「私も同じよ!人外の力というよりも、ランスはついに人間を辞めたんだっけ?私達も短期間で人外と言われているSSS級のステータスになったようよ」
追い打ちを掛けるようにフレデリカが続く。
「ランスのギフトの恩恵で私も大変な状態になりましたのよ。ただ、ステータスの向上と体の動きが変化した事に頭がついて行っていないのですわ」
あれ?フレデリカってこんな喋り方はしないだろうと思った。
「どうした?フレデリカってそんな女性らしい喋り方するキャラじゃないだろう?熱でも有るのか?」
その瞬間のフレデリカの落ち込み方と、シェリーとミザリィからの視線が特に痛く、失言に気が付いたが、遅かった。ナンシーが呆れていた。
「もう!ランスったら乙女心が分からないのね。折角騎士から大人の女性になろうと、貴方の為に隣にいて恥ずかしくない淑女になろうとして彼女は努力していて、喋り方も直して来たのよ」
言われてみればそうなのだ。今は鎧を着ているから分かりにくいが、髪もかつてのボサボサではなく、手入れもしていてちゃんとしている。男装の似合いそうな騎士ではなく、淑女に見えるのだ。
俺ははっとなり、フレデリカを抱きしめて頭を撫でた。しかしそこは定番のホーネットだ。
「ねえ、ランスロットの兄貴、流石に皆が見ている前じゃ交尾は駄目だと思うなー」
何処からともなく魔石が飛んできてホーネットは避けようとしたが、アリゾナに肩を掴まれた為に、おでこに見事にヒットして唸っていた。
「ホーネットではありませんが、我が主よ、程々にして先を急いだ方が良いかと思います。それとフレデリカ様の言うように、先のスタンピードと、先程の入り口に屯していた魔物の殲滅で一気にレベルが上がった為に、大幅に身体能力が向上しております。頭の中の動きのイメージと、実際の体の動きの乖離が大き過ぎる筈です。このまま一気に最下層に向かうのは危険かと思います」
俺は頷き、殿をホーネット、俺の後をオリンズとシカゴ、前方の護衛にアリゾナとした。そして女性陣を前衛にして、順次交代交代で魔物を倒していくように指示を出した。勿論危なくなれば助ける。ダンジョンの序盤で戦闘をさせて今の自身の能力について確認をしてもらう。
最初がナンシーとなり、ブラックオニキスのメンバーからスタートだ。
そしてサクサク進んでいる。
分岐もなく1km程で次の階層に出る。魔物も基本的に狼や猪風等と獣型が中心に出没し、時折出口を目指すミノタウロスやオーガが出る程度だ。既に女性陣の敵ではなかった。
10階のボスも俺がライトソードの試し斬りとして、体調3m位の巨大な狼のような外観の魔物と対峙する。前脚で薙ぎ払うのでライトソードで受けると、受けるのではなくさくっと切断され、切断面は焼けていて飛んで行った。
俺は飛んで首の後ろに取り付き、あっさりと首を刎ねて終わった。
女性向けの華麗な鎧が出た。
淑女の鎧と言う微妙な名前だが、うっすらと青く、清楚な花柄が描かれている。
また、ドラゴンの革でできている。胸の大きさからナンシーに合いそうで早速着させると、オーダーされた鎧のごとくピッタリだと言う。
恐らく仲間の誰かのサイズのアイテムが出るのだろう。
お昼休憩を取りつつ次に進む。
各階層は30分掛かるかどうかだ。最初の5階層までは500m位だったので10分程度で抜けていた。
やはり20階層まで岩型のダンジョンで、夕方過ぎにボス部屋に着く。
女性陣のみで対処する事となり、男性陣は見ているだけだったが、オーガロードを誰一人傷を負う事もなく倒していく。やはりお揃いの鎧が2つ出たが、シェリーとミザリィ用の鎧だった。
本日はここまでとなり、前回ゲットしたシェルターを早速使う。ここだと全員ちゃんとした部屋で寝られるので有り難い。
バトルシップで一室、ブラックオニキス、ムーンストーンで一室、メイベル、アリア、ユリア、ムーンライトで1室だ。
そして俺の寝室として1室。一緒に寝るのはクジで決めた2名となる。恐らく一巡すると見ている。
今日はミザリィとクレアだった。
そうしてぬるいダンジョンでの1日目が終わったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます