第132話 王都到着

 4日目 day37


 如月さんが皆に大きな声で伝えていた。


「志朗さんから念話だよ。念話が途切れてから1分間は私達の事が見えているんだって」


 驚いた事に見た目が変わった。

 金髪のおっとりさんから、きりっとした黒髪黒目のストレートの超絶美人だ。

 如月さんが言うには、記憶を失う前の俺の指示に従いボレロ王国の王都に向かっている。


 皆元気だと。それと、シェリー嬢が何かにお尻を触られたが心当りがないか?触られ方が俺の撫で回し方だったと伝えてきた。

 思いっきり心当りが有る。


「制御出来なくて何かを触った感じだった。あれはシェリー嬢のお尻だったのか。検証しないとな」


 俺は呟いていたが、どうやら俺がいない以外は順調だと言う。

 皆が愛していると訴えていたが、時間切れのようで場面が変わった。


 如月さんが寝起きにトイレに入っていたようで、出てきた所だ。


 綺麗な女性だなぁと思い、如月さんに触れたい、手を握りたいと思うと、見えない手が出た感覚が有った。そして何か柔らかいモノを触った。と言うか揉んだ。素晴らしい感触だが、何を触ったのかは分からない。パイ乙のような気がするが。


「きゃー」


 如月さんが胸を抱き抱え、小さく短い悲鳴を上げた。


 どうやら如月さんの胸を揉んだらしい。


「志朗さんだよね?」


 嬉しそうに問い掛けてくる。

 更に手に触ろうとしたが、どうやら頭を撫でたようだ。

 如月さんが頭に有る手?を触ると何故か温かな温もりが感じられて涙が出た。


 ふと気付くと俺はセチアの頭を撫でていた。俺がはっとなり離れると涙を拭かれた。そして起き抜けにセチアに聞いた。


「真面目に聞くけどさ、俺は寝ている時に君の胸を触ったり、揉んだりとかしなかった?」


 首を振って否定していた。

 夢か現実か分からない先程からの事を話した。

 何か夢系統のスキルかギフトだろうか?


 如月さんに短時間だが念話を送った。


「不明な能力で君の体のどこかを触り、頭を撫でたようだ。今は制御が出来ない。触れられた所を触って!」


 そう伝えてからもう一度寝る事にした。本来ならばトレーニングの時間だが、能力テストの方が優先する。今までの感じだと、念話の後すぐに寝れば向こうの様子を見る事が可能だ。


 やはり如月さんが見えたが、頭と胸を触っていた。


 すぐに目覚めたようだが、セチアによると、どうやら寝ていたのは10分位だ。目覚めた後に如月さんに了解とだけ念話をした。


 能力の確認をしていたとセチアに伝えて、着替えてから2人で走り込みを行った。


 走り込みから戻ってから俺は剣の訓練をしていたが、タオが出て来た。


「おはようランスロット卿。昨日は失礼した。それにしても酷い剣筋だな。よくそれで盗賊をやっつける事が出来たな!」


 喧嘩を売っているのか?と少しカチンと来て睨んだ。


「すまんすまん。そんな怖い眼をしなさんな。親父の指南役を紹介しようか?国じゃ有名だぞ」


 興味深いな。俺は話に食らいついた。


「ひょっとして教えを請うたり出来るものなのでしょうか?」


「興味有るかい?命の恩人の頼みであり、恩人を鍛えてくれと言えば大丈夫さ」


「是非お願いしたいです。スキル任せだったから、ちゃんと習いたかったんですよ。宜しくお願いします」


 俺は45度の綺麗なお辞儀を行ったが、結果としてタオの機嫌が著しく良くなっていた。


 間もなく朝食の時間の為に部屋に戻って着替える事にした。


 俺達の部屋は大した事はない。所詮2人だ。

 だが、タオには一番良い部屋を手配している。


 4階建ての4階で、その階には2部屋しかない。

 スイートというやつだ。

 リビングに寝室、応接室があり、リビングにある10人位座れるテーブルで夕食を食べた。


 きのうは興奮をしていたと後で話してくれたが、メイドに格好をつけたくて威張り散らしてしまったと謝ってきた。


 根は悪い奴ではなさそうだ。

 食事をしながら今日の予定を決めた。

 食事の後は奴隷を拾い、王都まで急いで向かう。急げば15時には着くだろう。

 タオは俺達を客人として屋敷に招くと言っていた。意外にも犯されたにも関わらず、メイド達に優しく接していて、惚れ直されて昨夜は凄かった!と聞きたくもないような事を自慢していて機嫌が良かった。また、俺の事も大層気に入ったようで、何故か女の好みや性癖も誇らしげに話してきた。


 まあ、悪い気はしない。だが奴の性癖は知りたくもなかったが、剣術を指南してもらえるのは有難い。


 奴隷は王都のギルドに突き出し、その後は討伐分の換金を行う事となった。


 屋敷に行く前に貴族御用達の服屋に行く。

 父親に今のみすぼらしい姿を見せられないという。十分良い服を着ているのだが、今のでは駄目らしい。

 まあそんなに急ぐ事もないし、付き合ってやるか!そんな感じで移動を開始する。昼食は宿で弁当を注文しており、人数分と奴隷に奴隷食を準備して貰っていた。


 残念ながら新たにお得意様(盗賊)には出くわさず、襲われている商隊発見のイベントも無く、15時少し前にあっさりと王都に着いた。結局のところ、ゴブリンが数匹出ただけだった。


 王都の町の入り口には入町の審査待ちでかなりの人々が並んでいたが、貴族王族用の入り口が有り、タオのお陰であっさりと入る事が出来た。尤も周りの目が痛かったが。

 一応犯罪者のチェックだけはあった。


 入り口は3つ有る。入町審査用、通行許可証を持っている者の入り口、貴族王族用だ。


 王都だけ有って防壁も立派だ。バルバロッサとほぼ同じレベルの建築で、城門の兵士の練度はバルバロッサよりも高そうだ。


 先ずはタオを服屋に送った。何故か俺も店に引っ張られております。貴族が着る、そういう服を俺も買わされました。今着る為なので、ちゃちゃっと直して貰い会計をする。しかし金額に驚いた。2人分で金貨150枚もしたのだ。これでも安い方という。セチアにも金貨30枚で簡易のドレスを買い、その場で着させてもらった。


 服を整えてからギルドに向かった。

 建物は木造の3階建で立派な作りで驚いた。


 タオがギルドマスターを呼び付けたというよりも、執務室に勝手に入っていったのであった。


っておいおい!大丈夫かよ?



 

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