第104話 盗賊討伐依頼

 day26


 朝6時に昼食を食べて出発となった。

 ダンジョンアタック組は今日は初心者講習だ。


 今回使う馬車は2台。ムーンストーン+フレデリカ、ブラックオニキス+クレアと5人組みの2つで行く。


 道中は特に何もなかったが、俺はトイレ事情を劇的に変える事に成功した。


 セレナとのデート中に小さな物置小屋を売っている店を見掛けた時に、思う所があり買ったのだ。面積は畳一畳程度の大きさだ。

 小屋の床に穴を開け、その周りを補強した。

 こちらの世界で使われているのはまだ簡易トイレなのだ。トイレ器具自体は以前家の予備にと買って置いたのを使う。

 要はトイレを床に固定して完成だ。

 使う時は地面に魔法で孔を開け、小屋を収納から出して設置。用を足したらたらいの水で流す。水は予め魔法でタライに入れる。 その為の魔道具も購入して備え付けたから抜かりはない。


 撤収時は小屋を外したらというか、収納に入れてから穴を土で埋め戻す。


 きのう帰ってから寝る前に工作をしていたのだ。

 まあ、自分で言うのもあれだが、俺は器用なのでサクサク行けたのさ。

 自らの手で図面を引き、2X4の六尺材とコンパネで物置小屋なんかも一人で作っていたりとDIYは得意で、子供にも教えていたりした。

 工作も何人かが怪訝な目で見ていたが、早くも日の目を見た。


 最初のトイレ休憩では皆が俺に抱きついて喜んだものだ。

 そして2台目3台目をとせがまれた。俺は調子に乗りドヤ顔で誉めて誉めてと言うとキスの嵐だった。

 英雄だった。ザッツトイレマン。トイレ万歳。ビバトイレ。


 今までは仲間が警戒しながら外でお尻丸出しだ。そりゃ喜ぶさ。魔導ランプを引っ掛けるフックも完備だ。抜かりはない。擬音装置さえ有れば完璧だが!それは流石に無理だったが。


 しかし隣町には昼には着いてしまった。

 昼食を店で済ませ、更に先を進む事にした。

 先ずは4人を馬の世話係にし、途中で昼食を食べたメンバーと交代した。俺は昼食の後に武器屋に仕入れに行った。魔石を使って強化を施すベースにする武器を調達する為だ。


 盗賊でも襲ってきてくれないかな?と暇な道中呟いていたりした。


 俺は馬車の中でショートソード、ブロードソード、ロングソード、エストック、短槍、長槍、槍、大剣、両手剣、ダガー各5本に魔石を組み込み、プラス3-5をひたすら作った。


 途中でオークが出た以外は何も無かった。

 丁度先程出発した町と次の町の半分位の位置で夕暮れとなったので、野営の場所を決めてテントを3張設置した。


 ゲートを出して交代交代で風呂や食事の為に屋敷へと行き来する。

 転移の部屋を決めてあり、被らないようにセレナのテレポートと俺のゲートの位置を対角にしてある。今回は盗賊討伐の為野営をする。自らを餌にする為だ。

 

 まあ襲われるとしたら明け方かな。

 見張りを決めてあり、俺は明け方だ。

 多分ここがヤバイ。

 だがセレナは最初にする。


 もしも攻めてきたら家にゲートを繋ぎ、非戦闘系を含め皆を連れてきてテントに入れておく。

 そのテントはアイスウォールで囲い護衛にニーベリング、シータ、エリシスを残し、それ以外で敵を殲滅してパワーレベリングを行う。その為屋敷要員である非戦闘系の面子は戦わないが、戦場には来るようにしている。


 day27


 誰かが俺を起こした。ナンシーだ。

 気配を探るが特に無し。


 見張りの相棒はトリシアだ。

 とりとめの無い話をしていると、ふと気配を感じた。

 50m先だ。俺は頷いてテントに入り皆を起こした。屋敷と繋ぐ方のテントに入り、中を広げてゲートを繋いだ。

 全員を起こしてテントにゲートで送りこみ、テントの中央部に集めた。

 外に出てからテントを囲むようにアイスウォールで囲んだ。

 奴らは20mまで来ていた。

 そしていきなり矢が飛んできた。俺はそれを掴むと、アイスアローをそこら中に撃ちまくった。すると幾つかスキルストックをした旨が聞こえてきた。


 20人以上に囲まれていたようだ。頭上に魔力を込めたライトの魔法を出し、周囲を照らす。俺には必要が無いが、他の面子が必要としている。


 一斉に飛び掛かってきた。

 俺は腹パンを繰り出したり転移の繰り返しで10人程を生け捕りにした。

 危なげなく制圧したので、林の中の死体を回収して回った。


 了解済みとはいえ、俺は鬼畜の所業としか思えない命令をした。戦闘系メンバーで人を殺した事が無いメンバーに1人ずつ処刑をさせた。

 ブラックスワンも全員初めてだった。

 元々話をしていた。いざと言う時に躊躇うと仲間の危機に繋がる為だ。それと冒険者としてCランクに上がる時に人を殺さなければならない。盗賊討伐であったり、死刑の執行等だ。どのみちいずれやる事だからと、誰からも責められなかった。そういう世界なのだ。

 残りは俺が2人を残して処刑し、武器とお金を回収した。

 そして死体を収納に入れていく。


 2人を奴隷にしてアジトを案内させる。テントを収納してから屋敷組は一旦屋敷に帰らせ、朝食を済ませた後に装備を整えた状態で玄関にて待機とした。


 アジトはここから馬車で20分位進んでから街道を外れ、脇道に入った先だ。

 脇道に入り5分位進むとアジトが見えてきた。どうやら洞窟を根城にしているようだ。藪から20m先に入り口が見えた。

 少し戻ってゲートで皆を連れてきた。

 護衛に屋敷の3人とシェリーを配置する。

 馬車は屋敷に置いて来た。


 俺とトリシア、フレデリカが洞窟に突撃する事した。


 入り口に残りのメンバーが陣取り、中と外を各々見張る形で行くと作戦を立てるのであった。

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