第87話 ダンジョン4日目
俺はボス部屋の外で、誰かに膝枕をされている状態で意識が戻ったようだ。
痛みは無い。
顔に誰かの涙が当たる。
「うわああ」
白々しく呻き、手を上に上げて胸を揉む。
鎧を着ていないな。
「キャッ」
セリカの悲鳴が聞こえた。
あちゃーセリカだわ。
今起きた振りをする。
「すまない、誰か状況を教えてくれないか」
今セリカのおっぱいを揉んじゃった事をスルーして貰う作戦に出ました。揉み心地は気絶し掛けたと言っておこう。
早速ナンシーが説明してくれた。
ボスを倒した後、腹に刺さった剣を抜いたら悶絶して気絶し、その後セリカの懸命な治療で治った。
1時間程気絶していて、ドロップはミスリルの剣と聖者の衣が2着。
下手な鎧より防御力が高いな。
聖魔法の効果倍は有難い。
「みんな迷惑掛けたね。特にセリカは治療してくれて有難う。膝枕、心地良かったよ」
みんな安堵していた。
衣に先程の魔石で強化をする。
魔法を反射し、強度と防御力が100%アップか。
セリカとライトアイに後で着させよう。
時間は夕刻なので下に降りて野営の準備をする。食事を配膳するのはセリカの係りになったようだ。
食事を終えて2人に聖者の衣を渡して明日から着るように渡たした。
驚いた事にセリカが喜んで受けとるだけで、明日着ますと普通の受け答えをしていた。
段々奇行や問題発言が無くなって来ていた。
試しにステータスを深く探ると状態に中毒と有った。
更に深入りすると薬物による幻覚と催淫とある。
どうやら城で薬を盛られていたようだ。段々薬の影響が抜けてきているようだった!と思い込んでいた。
今日は普通に眠れそうだ。
セリカにお休みのキスをすると恥ずかしがっていた。でも相変わらず俺の腕は離してくれない。
やがて疲れからかお互い寝息を立てるのであった。
day20
朝異常事態で急激に目が覚めた。
上半身裸のセリカが俺の腰に跨がっている。
そして一方的に俺を殴り始め、奇声を発する。
「キャー犯される。こいつ犯罪者よ!」
「彼女は薬を盛られていて、薬物を抜くのは簡単な事ではない。大抵の場合、縛り上げて閉じ込めるのが患者を守る手立てとなる」
皆が頷く。
俺は決断した。
もうセリカに卑猥な事を言わせたくない。
「縛り上げてテントの中に寝かせてくれ」
ナンシー達に託し、テントをもうひとつ出した。
外では戦闘の音が聞こえた。
俺は逃げるようにそこに向かっていったが、フレデリカが下着姿で戦っていた。
「服を着て装備をしてこい」
下がらせ、がむしゃらに戦った。
セリカが騒いだ為に魔物が引き寄せられたのだ。
取り急ぎ最初の分岐路まで行単独で魔物を退治しに行き、分岐路でその先に特大のファイアーボールを投げてから引き上げた。
テントに戻るとシェリーが出迎えてくれたが、セリカの所に行こうとしたが皆に止められた。
一時正気に戻ったセリカの希望で、これ以上醜態を見られたくないと。
かなり酷いので縛り上げて猿ぐつわまでしているという。
ナンシーとニーベルングだけ正気ではない時に触っても暴れないので、交代で付き添いをしてくれている。
それでも行こうとするとシェリーに諭された。
「好きな男性に惨めな姿を見られたくはないのです。どうか今は見ないであげてください。この1、2日で薬が抜ける筈です」
俺は泣きながらただただ頷いた。
異常事態でここに足止めをされるのと、テントに魔物を近付けたくはないので、3人一組で警戒班を立てる事に決めた。
テントから40m位先に待機の場所を決め、警戒と殲滅を行う。
俺はテントで皆の装備に魔石による強化を施す等、現実逃避をしていた。
クレアのデスサイズにメデューサの魔石を組み込む。
さてさて楽しみだ。
デスサイズ+8となった
能力は即死クリティカル率30% 自動修復
強度と攻撃力が80%アップ。
強化しておいて何だけど、凄い事になった。正に死に神だ。
クレアに説明するとジト目をされてしまったが、少ししてから優雅にお辞儀をして感謝をしていた。
俺はふとミスリルの槍を見つめていた。
オーガジェネラルのだ。
悩んだがポチっちゃったじゃなくて、オーガジェネラルの魔石で強化する。
+11となった。10を超えるんだなと感心した。実はスキルレベルが上がり、補正値の上限が解禁されただけだ。
特殊能力はテイムだ。攻撃が当たると80%の確率でテイムして配下に置くというのだ。魔物限定。
うわーえげつないのが来たな。
ちょっと槍術も気に入っている。某ラ〇サーを格好いいなと思っている。
あと、趙 雲を気に入っていたりする。
これは自分で使おう。
皆がミスリルの武器を持っているのにはもはや呆れるばかりだ。
ダンジョンで得た魔石をガンガン使う。
使う予定のない武器も適当に付与をして、販売用をせっせと作成していく。
スキルマスターの能力を考察してみた。現在はレベル4だ。
魔石とスキルを合成餌にする事により、最大ランク3までのスキルを作成できると有る。
棍棒術を餌にオークナイトを合成すると、聖魔法2が出た。
どんどん行く。ダンジョンで得たスキルを合成して行くが、俺が聖魔法を強く要望したからだろうか、スキルの合成で聖が4になった。
途中でコクコクしてしまい、気が付いたらエリシスが膝枕をしてくれていた。
どうもまだ前日の怪我で流した血が回復していな為、疲労が早かった。
スキル作成を粛々としていると、ついにスリープのスキルを得た。
これは指定した時間相手を眠らせるスキルで、時間が長ければ長い程必要な魔力量が多くなる。
セリカの様子を探らせると、今はナンシーと俺には聞かせたくない類の会話を延々としていると。
俺は何をするのかをニーベリングに話し、セリカを入り口に背を向けて座らせるように指示をした。
ニーベルングが準備が出来た事を知らせてきたので、これからスキルで眠らせると全員に念話で伝え、そっとテントに入った。
耳を蓋したくなる女の子がしちゃいかんエロい会話をスルーし、セリカに触れると24時間と決めて、スリープと発する。
あっという間に倒れて眠りに落ちた。
セリカを布団に寝かせ、ナンシーとニーベルングを優しく抱きしめて感謝を述べた。
「有難う。嫌な思いをさせたね。大変だったと思うから今日はもう休んでね」
軽くキスをして休ませる事にした。
明日様子を見てまだ駄目ならば、追加で12時間のスリープを使う予定だ。
ふと思いテントを出ると剣の素振りと槍の突きの稽古をした。程よく疲れてからテントに戻り、ナンシーとニーベルングを招き寄せて2人の間で寝る事にした。
ナンシーが俺の頭を胸に抱き寄せる。
ナンシーの鼓動を強く感じる。心地良い音だ。彼女はそれを知っている。
皆に夕食を食べて貰い、見張りの当番以外は眠りについた。
セリカの事を考える。
精神異常ではなく、麻薬中毒だったので回復の手だてがある事に感謝をしている。
幸いな事に、今は眠らせる事が出来るようになった。スキルに感謝をしないとだ。
早く薬が抜けて正常に戻ったセリカをちゃんと見たい。
正常に戻っても俺の事を好いていてくれるのだろうか?
そんな事を考えているといつの間にやら眠りに落ちていったのであった。
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