第82話 セリカの奇行
俺はオークジェネラルと対峙すべく向かっていたが、セリカについては深刻だなと感じた。やはり変だな。この子は絶対このような性格ではないよな?結婚するまで処女を守り通す感じの今時珍しく、厳しく大事に育てられている感じだ。そんな感じに思っていたが、今の彼女は簡単に股を開く勢いだ。
俺はジェネラルに相対して数合斬り合い、首ちょんぱを行った後に、セリカに親指を立ててサムズアップで笑顔を向けた。
取得スキルは状態回復。麻痺や石化も回復させられる。良いスキルだ。セリカに使うも元々期待はしていなかったが、やはり効果は無かった。
ドロップはミスリルの片手剣だ。早速セリカにプレゼントしたが、やたらと喜んでいた。
魔石を回収し、12階へ降りる。
俺はダンジョン攻略を急ぐ決心をした。セリカの異常をどうにか出来るスキルを期待してだ。実はセリカの持っている魔法が効きそうなのだが、魔力がかなり必要で、残念ながら今の彼女ではステータス不足で魔力が足りない為、使えない。
俺がスキルを手に入れるか、セリカのレベルが大幅に上がるかのどちらが早くなるのだろうか?
ただ、ダンジョン自体の進行は順調に進み、15階に来ていた。途中の13階で昼休憩を挟んだ以外は特に何もなく、怖い位に順調だった。
15階はリザードマンナイトが大量に出て来た。そして行き止まりにボス部屋があった。
ボスはリザードマンジェネラル。先ずはシェリーが斬り掛かったが、あっさり吹き飛ばされた。トリシアも蹴られて頭を打ち、あっさりと気絶してしまう。レフトアイとフレデリカの2人掛かりで剣を振るっても相手にならない。
不味いなと思い、皆を下がらせてアイスアローをしこたまぶち込んだ。
奴は左腕を犠牲にして頭を守り切り、一気に俺との距離を縮めてきた。ふとセリカがフラフラっと前に出てくる。ジェネラルの標的が変わった。一瞬のうちにセリカの前に出て斬り掛かった。やばいと感じ、転移でセリカとの間に無理矢理入るも、剣を完全に防ぐ事が出来ずに肩を大きく斬られてしまった。
「ぐふ」と叫ぶ。
周りが悲鳴を上げる。俺に追撃をしてくる奴に皆が魔法で攻めるが、大して効かない。辛うじてアイスウォールでトドメの一撃を躱し、その隙にヒールを掛ける。
何とか動けるようになるまでの時間稼ぎをしようと皆が必死に攻撃を仕掛け、何とか右手を切り落としてくれた。
ほぼ無力化して最後は俺が後ろに回り、首を切り落とした。
普通に闘っていたならば問題なく勝てた相手だ。しかし俺がいなかったら何人かは死んでいたであろう。スキルは空間魔術だった。
これは任意の大きさの物の中身を大きくする。
込めた魔力により大きさが変わる。テントで使えば入る事が出来る人数を増やせられそうだな。
倒れている者を見るが、幸い打ち身程度で済んだようだ。
皆を回復魔法で治療し、その後ドロップを確認したが、ドラゴニックフルメイルだった。男性用だったのもあり、俺自らが着る事になった。周りから無理矢理装備する旨を約束させられたのだ。まあ無茶したからなんだけれどもね。
セリカは先程の事を覚えていなかった。夢遊病のようにふらふらと進んだようだ。
早急に何とかしたい。
16階に降り、階段の所で野営を行う事となった。
収納から出した食事を終わると早速テントの中を広げる。
テントの内部の空間自体は20畳位の大きさになったが、外から見ると普通のテントだ。内部が驚く程の広さになり、皆、目をきょろきょろさせながら驚いていた。
部屋の中央に俺が寝て、隣にセリカが当たり前のように寝た。
そして抱き付きながら問題発言だ。
「どうして志郎は私にエッチな事をしないの?私の初めてを貰ってよ。無理矢理でも良いのに。この意気地無し!それとも初めての女は面倒くさいし、重くていや?なら誰かとやってくるから、そしたら抱いてくれるよね?」
そう言うと、周りに他の女達がいるのにも関わらず、服を脱ぎ捨て俺の手を自らの胸に持ってきた。
「据え膳ですよ!さあお食べになって」
絶対おかしい。俺はキスをして服を着せる。
「俺は君の事を大事にしたい。こんなダンジョンなんていう殺伐とした場所ではなく、ちゃんと雰囲気を造り、俺の部屋でおもてなしをして思い出を作りたいから、もう暫く待とうね!それまでは俺の為に大事に純潔を守りきろうね」
そう言うと残念そうにした。
「そっかぁ残念だなぁ。でも私の事をちゃんと考えてくれているんだ。うん、待っているね!」
セリカは周りの者が服を着せるに任せてそのまま寝ていった。
ナンシーは複雑な顔をしていた。
「さすがにおかしいですね。余程辛い思いをしてきたのでしょうね」
そう言いつつ、ナンシーは俺の隣に陣取り腕を組んで寝ていったが、俺も寝る事にした。
今夜は俺は野営の番から外された。回復で魔力を使い過ぎたからだが、俺も見張りをするというと全員がただただジト目をするので、諦めた。
「分かった大人しく寝るよ」
そうして大人しく寝る事にした。そしてセリカの頭を撫でていた。
「絶対、正常にしてやるからな」
俺は呟くと間もなく意識を手放していったのであった。
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