第71話 トリシアが!
意識を取り戻すと、誰かの胸が目の前にある事に気が付いた。
「あれを揉んだら気持ち良いのだろうな!」
と思い、手を伸ばして揉んでみた。うん揉み応えがあるなあ。揉み心地の良いパイ乙だなあ。と思っていると俺は呟いた。
「このおっぱいと結婚したい。揉みモミもみ」
おっぱいの持ち主から涙が落ちてきて俺の口に入る。じょっぱいな。
俺は又もや咽せた。体のあちこちが痛い事に気が付く。
「ヒール」
何とかヒールを唱えた。暫くすると、痛みが引いてきて、俺の意識ははっきりして来た。
いつの間にか場所が変わっていたが、どうやら洞窟のようだ。
ハッとなり体を起こそうとしたが、顔がおっぱいに埋まり起き上がれなかった。柔らけー!ぱふぱふだ!
そして誰かが優しく起こしてくれた。
おっぱいの主はレフトアイだった。顔を赤くし、目は涙で一杯だ。うがー!やっちゃった。恋人でもないのにおもいっきりおっぱいを揉んじゃった。涙はセクハラで泣かせちゃったんだよな?強姦罪でお巡りさん来ちゃうかな?とアホな事を思った瞬間、ここは異世界だったよなと思い出した。
俺は開き直り、何事も無かったかのように質問をした。
「状況を教えてくれ。俺はどれ位気を失っていた?」
そう言うとレフトアイが説明してくれた。今はライトアイ達が逃げ込んだ洞窟にいる。俺は30分位意識を失っていたそうだ。
ミノタウロスは本体はそのままだが、何とか魔石と討伐証明部位だけはシェリーとフレデリカ、クレアの3人で回収したと言っていた。俺は皆に告げる。
「先ずはミノタウロスの死体を回収する。それをやらないと他の魔物が群がってきて脱出出来なくなる。それと脱出に向けて周辺の気配を探る」
そう言いシェリーに案内させて死体の回収と周辺の探査を行った。ドロップは既に回収済みで、周辺は特に問題なかった。収納し、周辺の血はクリーンで取り除き、取り合えず洞窟に戻った。
意識がはっきりしてきて、周辺の脅威が無くなった事を伝えた。もう回復したからと、さあ脱出しようと言うと、皆が沈んでいた。そういえば1人足らないな。赤毛の元気娘はどうしたんだろう?と今更ながら赤毛の元気娘の姿を見ない事に気が付いた。
「なあ、あの赤毛の子はどうした?」
シェリーに聞くと、シェリーの見つめる先に赤毛が寝ていた。地面に直接だ。
「おいトリシア、どうした?怪我でもしたのか?」
そう言うと、レフトアイが俺に抱き付いてきて泣き出した。
「トリシアが、トリシアが!」
よく見ると胸が上下していない。
俺はトリシアの手を握った。しかし冷たかった。
「何が有った?」
「私を庇ってミノタウロスの一撃を受けて瀕死の状態になったのです。手持ちのポーションも、ありったけのヒールを掛けましたが、うっ、つうっつ、いやああ」
リギアはそれを言うのが精一杯で泣きだした。
俺は毛布を出し、トリシアを抱き上げて毛布の上に寝かせてあげた。そしてその生気の無くなった顔を綺麗な布で拭いてあげた。3人はその様子を見て泣いていた。レフトアイは泣きながらつたえてきた。
「きのう食事の時に、ランスロットさんがあの子に求愛をした後、あの子ずっとランスロット様、ランスロット様があたしなんかを必要としてくれている。嬉しいぜ!。おまけに3人も一緒にOKって嬉しいじゃないか!って言っていたのに逝ってしまうなんて!」
?聞き捨てならない言葉を発している。
「求愛って?」
聞き返すとナンシーがジト目をした。
「ちょっとそこに座って下さい」
俺は思わず気圧され、正座をした。
「きのう食事の時に彼女に鏡を渡しましたよね?」
「うん確かに手鏡を渡したよ」
「その時に掴んだ右手に左で持った鏡を渡しましたよね?」
「うん渡したけどそれがどうしたの?」
「私の時もそうですけど、未婚の女性の手を握るのは貴女の事を気になっています。そして左手でも握るのは好きです。私のハーレム入りを検討して下さいって意味で、彼女は握り返していたでしょ?」
そう言えばギュッとされたな。
「ああそうだ、その後から彼女がしおらしくなって、可愛いなと思ったんだ。そう言う事か」
俺はトリシアを抱き起こして抱き締めた。
「ごめんな、痛かっただろう。苦しかっただろう。俺が愛してやる。生き返らせてやる。生き返らせてやるから俺の伴侶になれ!」
そう言うと3人が泣いた。
「もう良いんです。その言葉だけで十分です。ランスロット様ありがとうございます。せめて遺体だけでも町に連れて行ってあげられませんか?」
俺は手で制し、3人に伝えた。
「彼女を生き返らせる。だからトリシアの言葉を実行する。生き返らせたら俺の所に来い」
ついつい勢いで言ってしまった。3人の顔は希望に満ちた目に変わった。
「はい。きのうの話の後で既に4人で嫁入りをすると決めています。でも、そんな事が出来るのですか?」
「ああ出来る。死んでから丸1日以内ならな。時間が経つと厳しくなる。今から行くぞ!」
そう言うと彼女の鎧を脱がさせた。俺はその間に食料や布団を出し、俺はその布団の上に座った。
鎧を脱がせ、肌着のみにさせたトリシアを座った俺の前に座らせ、俺は彼女の服に手を入れて心臓の辺りに手を置く。
胸は小振りで柔らかいが冷たい。ちゃんと温かい時に触ってあげたかった。俺の装備は既に外して収納し、ナンシーに後を託した。
準備が出来た。
「トリシア戻って来い。そして約束した通りに俺の所に来い!死者蘇生」
俺がそう叫ぶと、掌からトリシアの心臓に向けて一気に魔力が流れていくのを感じた。その魔力の本流に気を失いそうになるが、俺は必死に抗い耐えていた。彼女の体が段々暖かくなり、心臓が弱くだが動き始めるのを感じた。
「ごふっ」
時折呻き声が聞こえるが、時間と共に激しく頭がクラクラしていく。そして俺はトリシアの心臓が力強く鼓動を再開した事を確信するも、蘇生成功の可否が分からないまま意識を手放したのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます