第67話 盗賊のアジトへの急襲

 縛られている女の服が破られており、胸が顕になっていたが、それよりも下半身を見て絶句した。金属の貞操帯を着けていたからだ。 


 首には隷属の首輪が見える。若い女だ。どうも見覚えが有り、向こうもこちらを覚えていたようだ。猿ぐつわを外していると、首輪に手が当たったタイミングでアナウンスが聞こえた。


「奴隷7を獲得しました」


 以前のメモを収納から出して確認をした。


 5番 

 16才 

 77-52-80 

 白髪ロング 

 敗戦国の神官 

 奴隷歴5年 

 聖魔法 

 薄幸美人 

 こちらと目を合わそうとしない


 要は先日シータ達を購入したオークションへ一緒に出品されていたオークション奴隷だ。商人の体を物色すると貞操帯の鍵が出て来た。また、この男にも見覚えがあった。確か落札した奴だ。


 クレアにロープを切らせてから服を脱がさせた。俺も触診と目視で体を確認する。どうやら怪我は無いようだ。俺はゲスだが、このような状況下では流石にエロい事を考えない。純粋に怪我の確認だけだ。おっぱいは小さいなと少しだけ思ったけど、少しだから許してね。誰に許して貰うのだか…


 服は酷かったし、彼女も臭かった。服は貫頭衣だ。俺はクリーンを掛けて、鍵を使って貞操帯を外してあげた。そして仲間の予備の服であるワンピースを収納から出して、万歳をさせて着せていく。驚いてお礼をしていた。


「怪我が無いようなので、クレアに一旦世話をお願いする。申し訳ないが面倒を見てあげてね」


 クレアの肩に手を置いたら頷いてくれた。


「畏まりました我が主よ」


 格好つけていた。5番の子に声を掛けた。


「どうやら俺が君の新たな主人になったようだから確認しておいてね。後で君の事をちゃんと考えるが、今はまだ戦闘中だ。だからクレアの指示に従ってくれ。俺達は君に危害を加えない。性的な暴力もしないからね。つまり味方だ。彼女の事はオークションで見た事が有る筈だ」


 馬車から出る前にクレアに聞いた。


「クレアは直接殺したか?」


「2人か3人を直接。他の3人も1人は殺しています」


 俺の聞きたかった事を察したようで、俺が聞き難かった事を答えてくれた。これで処刑を命じなくて済む。生け捕りをしたかったのは、殺しを経験させる為だった。


 取りあえず5番のパーティー登録だけはしておいて、今のステータスを控えておいた。多少だが盗賊でパワーレベリングが出来るだろう。後で俺の隷属者だから不要だと気が付いたが、この時はそうではなかった。


 俺は盗賊の始末をする為に出ていった。


 意識のある盗賊は誰も居ない。一応3人にも殺したかを聞いたが、全員が殺していると答えた。俺は盗賊のカードと盗賊以外の死体を集めるように指示をし、盗賊のカードを集めると女盗賊の死体と盗賊以外の死体をどんどん収納に入れていった。今回のリーダーをフレデリカにしており、盗賊の処罰をフレデリカならどうするかと尋ねた。


「どうせ生きて連れて帰っても鉱山送りですし、騎士団では可能なら尋問用で1人を残しますが、その者を除き全員の首を即刻刎ねます」


 俺も頷いた。馬車の中の奴隷に人を殺した事はあるかと聞くと首を横に振る。


 これから必要になるので俺もするが、1人で良いから処刑して欲しいと言うと頷いた。スキルがどうでも良い奴の首を斬らせた。まだ興奮している所為か、俺は残りに対して淡々とこなしていった。相手が盗賊であり、奴隷とは言え処刑を若い娘にさせるなんて俺はやはり壊れているな。ろくな死に方をしないんだろうなと思う。

 

「殺しを強要させて悪かったな」


 5番の娘にそう言うと、きょとんとしていた。ちょっと可愛いなぁと思う。それとこの子はオークションから数日が経過しているけれども、何故か未使用品だった。ぼそ。未使用の意味は察して欲しい。


 俺は先程1人を奴隷にし、他を殺していったが、商隊を襲い、奴隷以外の全員を殺しているのだから情けを掛ける必要は無いのだ。


生活魔法3

隠密4

投擲術2

気配察知3

片手剣3

両手剣2

暗殺

以上が今回奪取したスキルだ。


馬車は使えそうなので、クリーンを掛けて血を取り、出発の準備をした。


 俺は奴隷にした盗賊にアジトを案内させ、急襲する事にした。ここからは俺が指揮を執る。


 街道から10分位離れているだけなので、全員で向かう。放置すると被害に合う者が増えてしまうからだ。


 アジトから50m程離れた茂みに馬車と5番の子、護衛にクレアとエリシスを残した。そして捕らえた盗賊を連れて襲い掛かった。俺が突っ込み、フレデリカが後ろを付いてくる。シェリーとシータには入り口で俺達が討ち漏らした奴への対処と、万が一アジトに戻ってくる者がいれば、そいつらへの対処を任せた。信頼の置けるシェリーには大事な事を任せたい。フレデリカは別働隊のリーダーとして育て中だ。


 アジトには10人位しかおらず、広さも30平米位の洞窟で、あっと言う間に制圧した。


 フレデリカにカードを回収して貰い、溜め込んでいたお宝を収納に放り込んだ。フレデリカによると、盗賊を討伐した時は、そのアジトにある物は討伐者に権利があるそうだ。

 最近この世界の常識はフレデリカに聞く事が多い。4年前まで騎士団に所属していたからだ。シェリーは6才までの一般知識しか無いから、世間離れしている事が多かった。


 ゲットしたスキルはこうだ。

統率

闇魔法

聖魔法

弓術2

生活魔法3

片手剣2


おお闇魔法だ。これで6属性だなぁ。


 囚われた女を解放してのハーレムうはうはのイベントは無く、単なる盗賊討伐だ。奪った物はそこそこ良さそうな武器もあるし、盗賊の装備で良さそうなのは回収したが、鎧は捨て置いた。ミスリルでも有れば良いが、全員皮鎧だった。

 装備品も色々有ったが、取り敢えず収納に突っ込んだ。


 そうして一路ナンシーの元に急ぐべく、先ずは街道に向かった。


 エリシス達と合流し、出発の準備をする。商人の馬車の荷物の殆どが重りにしか成らず、邪魔なので収納にドンドン押し込んだ。


 馬車の人員配置は元の馬車に俺とシェリーと5番の奴隷、御者はクレア。

 商人の馬車にフレデリカとエリシス、御者はシータ。


 商人の馬車も2頭立てだ。

 商人の馬車には奴隷だが、騎士団での経験のあるフレデリカをリーダーとして配置するのが良いと思った。シェリーは俺の側近として傍に居て欲しかったから、敢えてリーダーからは外した。


 奴隷にした盗賊は、奴隷解放し、もしもシェリーを倒したら見逃してやるとして武器を与えて戦わせた。5合と持たず、心臓を一突きだった。

 シェリーの対人実戦経験としたかったからだ。そしてカードを回収して出発した。勿論死体は放置だ。俺も情け容赦無いなと自問自答し、人として壊れているなと苦しんだ。


 昼は交代で弁当を食べた。5番の娘には時間がもったいないので、命令として食べさせた。感謝してがつがつ食べて餌付け中の雛のようだった。時折顔に着いた食べかすを取ってやったりしたのであった。

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