第15話 この世界の風呂の使い方
宿に戻ったので明日の事について考えてみた。
これからこの世界で生きていく為に考えなくては行けない事をまとめた。
1 お金の事
今有るお金はいずれ尽きる。収入源が必要
2 強さについて
お金に困る事が無くなったと仮定しての話しだが、この世界で安心して生きていく為には単独でも先の盗賊団位は余裕でねじ伏せる強さが必要。お金を持っていれば押し入り強盗等も多い世界としか思えないからだ。
3 俺の事について
過去の記憶がおかしくなってきている。何かに書き残し、記録して記憶に有る事を残しておかなければ忘れてしまいそうだ。又、信用できそうな人に俺の秘密を伝え、生きていく為のサポートを求める必要が有る
4 文字
この世界での識字率がどれ位なのかは分からないが、食堂の店員の様子からは字が読めない事に対して特に驚いた様子が無かった事から、普通の事なのだろう。出来れば早急に覚えたい
5 シェリーの事
まだ知り合ってから2日。尤も俺がこの世界に来てからまだ一週間も経っていないのだが、奴隷ってどう扱えば良いのだろうか?まずは奴隷がどんな制度か理解しないと。出来ればシェリーの事は奴隷ではなく普通の女性として扱いたいが、彼女がそれを拒否している素振りが有る。可能かどうか分からないが、単純に奴隷から解放するだけの問題ではなさそうだ。面倒だな。
何をするにも先ずはシェリーに生きていく為の力を付けて貰う必要が有るな。
幸いゲームのようなふざけたレベルの概念が有るので、活用しよう。
6 王女について
当面の大きな目標は王女を懲らしめる事。とっ捕まえてけじめを付けさせてやる。出来れば奴隷にしてやり、俺が味わった死の恐怖を知って貰いたい。
まあこんなもんかな。後でシェリーと相談してみよう。
宿に戻ってから1のお金の事についてシェリーに聞いた。
「冒険者はどうでしょうか?」
そう言えば門番も冒険者について何か言っていたな。
冒険者は依頼を達成する事で対価を得る。
大きく分けると魔物等の討伐依頼、今回奴隷商が襲われたが、その時の冒険者が受けていた護衛依頼、薬草や貴重な資源や植物の採取依頼がある等だ。
薬草等はギルドや道具屋等で買い取って貰える。
魔物は討伐するとギルドで討伐証明部位を換金できる。ギルドや道具屋等で魔石を売れば良い稼ぎになる。そう言えば、冒険者の手引きにも書いてあったな。
次は通貨について聞いてみた。
単位はゴールド又はG。
相場は宿屋の従業員に聞いた。この国に来たばかりでこの国の相場が分からないと聞くと、少し教えてくれた。
恐らく召喚者が備えていると思われる翻訳能力がそうさせているのだろうが、翻訳能力が無ければ会話ができている事に納得が出来ない。お金の呼び方も本当はもっと別の呼び方なのだろう。
硬貨は鉄、銅、銀、金、大金、白金がある。
1銅貨=10鉄貨
1銀貨=10銅貨
1金貨=10銀貨
1大金貨=100金貨
1白金貨=100大金貨
普通の生活をするのには、月に金貨10枚位で済みそうだった。
宿屋も安宿だと一泊しても3000G程で、食事は一般的なお店で昼食を食べると一人につき500~1000G位だそうだ。
ややこしいので取り敢えず1G=1円と脳内換算をしてみる。
つまり1金貨は1万円、1銀貨は1000円相当かな。白金貨は1億ってまず見る事はないんだろうな。
そう言えば自分も少し臭っている自覚が有ったが、実際問題シェリーの方の臭いが強い。しかし、とてもではないが年頃の女の子に臭うよとは言えない。奴隷の扱いが酷いのだろうが、先ずは風呂に入り綺麗さっぱりにしたい。
俺がお風呂のお湯を張ろうとしたらシェリーに止められた。
「私がやりますのでランスロット様はお休み下さい」
「お風呂の使い方が分からないから教えて欲しいのと、自分でも出来るようになりたいから教えてよ」
そう言うと渋々だったが、一緒に風呂場に入れてくれた。
水は水道が引かれているので、蛇口を捻れば出るのだが、お湯はお湯を作る魔道具に魔石を入れるか、魔力をつぎ込むとの事だ。ただし、シェリーの場合は魔力を全て注ぎ込んでもぬるま湯にしかならないそうだ。
普通は自前の魔石か宿の受付で魔石を購入するのだそうだ。
照明の分は宿代に含まれているので、宿の方が毎日魔石を入れているとのこと。照明はゴブリンの魔石で1日分になる。お風呂で使う魔石は金貨1枚と結構値が張る。お風呂が有る宿は少ないのだが、魔石の値段から魔力の強い上級魔道師や宮廷魔道師、お金に余裕の有る商人や貴族位しか日常的には使えないのだそうだ。安宿にはそもそも風呂場は無いそうだ。
お風呂の作りは洗い場は1坪位の面積で、木製の浴槽が置かれている。
浴槽にお湯が張れるように水と魔道具からの蛇口が有った。風呂場にはタライも置いてあり、普通の人は桶にお湯を入れてそれで湯浴みをする位だ。
因みにゴブリンの魔石だとお湯は30秒位しか出せず、普通の人の魔力だと、精々桶にお湯を入れても2~3回入れられるかと言った量だそうだ。
取り敢えず魔道具に手をかざし、魔力を流してみるとぐいぐい魔力が吸い取られて行く感覚が有ったが、程なくチャージを完了した事を知らせる光が発せられた。
「えっ!えええ」
それを見たシェリーが驚いており、俺の手を握ってきた。
その後シェリーにお湯を入れるようにお願いして操作して貰ったが、何の事も無くただ蛇口を捻るだけだった。
暫くしてお湯が貯まったと、シェリーが伝えてきたので、今後の事についての考察を一旦中止した。
「それじゃあ先にお風呂に入ってね」
そう伝えたが、勿論反対された。
「そんなのダメです。ご主人様を差し置いて、湯浴みならまだしもお風呂は頂けません」
「今少し考えを集中したいし、夜は早目に寝たいから先に入って貰わないと俺が困る。俺の我が儘だからさ、先に入って」
そうやって諭しても、ジト目でこちらを見つめてくる。いかんいかん。キスをしたくなるくらい魅力的だ。
「長目に考え事をしたいから、遠慮せずにゆっくり入るんだよ」
そこまで言うと渋々だが先にお風呂に入る事を了承し、シェリーは先にお風呂に入るのであった。
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