第2話 新しい人生

目を開けたらそこには知らない天井があった

本当に転生したのだろうか いまだに信じきれない


自分の手を見る 小さくきれいな手だ 元々のおっさんの手ではない

本当に私は死んで、新たな人生を歩んでいるのだと実感する


私の死は報道されただろうか

一部界隈では有名人だったと思うし

あの事故も大きなものだった

報道される可能性はあるだろう


私には家族がいなかった 両親は高校卒業したあたりで死んでしまった

そういう場合死んだらどうなるのか 一度気になって調べたがわからなかった


Vtuberとして一応事務所に所属していた

その事務所のマネージャーには顔も名前も知られている

もし報道されたならすぐにでも事務所から報告があるのだろう

ファンは悲しんでくれるのだろうか


自分が死んだという事実は遅れて実感するようだ

未練は、結構あるな

一番の未練はあのゲームが買えなかった事か

もしくはもう配信ができないということか

まぁ、もう考えても意味はないだろう


切り替えよう


元々の『私』瀧平たきひら 徹彦てつひこは死んだ 

そしてこれからは新しい人生を歩むのだ

これからの『僕』のことを考えよう



それにしても今、僕は何歳くらいなんだろう

これまで僕の記憶がない


とりあえず起き上がろう

「あっデクス様、起きていらっしゃったのですね おはようございます」

メイドがいる そういえば女神が貴族の家に転生させるとか言ってたか

「おはよう えっと誰だったっけ 記憶が曖昧あいまいで」

「ティルシアです えっと記憶が曖昧といいますとどのくらいまで覚えていますか?」


どこまでと聞かれても全く思い出せない

「ほとんど忘れている 自分の名も、歳すらわからない」

「そんなにですか では、いろいろご説明します」


「あぁ、助かる」


ティルシアによると僕の名前はデクス・ルガツカヤ 年齢は4歳らしい

父親はドルフ・ルガツカヤ、母親は本妻のヘレン・ルガツカヤというらしい

このルガツカヤ家の3男らしい

兄の名は長男がリック、次男がルーノというらしい

それと僕は2日程 高熱を出し寝込んでいたらしい

記憶が曖昧なのもこれのせいだと思われている


あとティルシアは僕の専属メイドだった


自分の顔はどんな感じだろうと気になった

「ティルシア 鏡ってある?」

「持っていますよ どうぞ」

ティルシアから鏡を受け取り自分の顔を見る


髪は黒で普通だ 目は右が赤く、左が白い オッドアイというものか

顔立ちは... 元の世界で考えるとかなり美形な方だと思う

この世界ではどうかわからないが


「なぁティルシア」

「なんですか?」

「一般的に見て僕の顔はかっこいいと思うか? 正直に言ってくれ」

「かっこいい方だと思いますよ モテモテ間違いなしです」

「そうか」

元の私はお世辞にもかっこいいとは言われなかった

むしろかっこいいというやつは僕をけなしていた


「あっ、忘れていました 朝食のご用意ができたのでお呼びしに来たのでした」

「そうだったか では、行こう」

ティルシアに案内され僕は食堂に向かう

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