異世界来たら俺の親友が女の子転移してました~その子(?)が何度見てもやっぱり可愛いんですが、これどうしたらいいですか?
さんぱち はじめ
第一章 異世界転移したら、親友(♂)だけTSしちゃってた……
第1話 プロローグ
俺、
学校帰りに駅のホームで、線路に落ちたおじいさんを助けようとして電車にぶつかったのだ。小学校からの親友のミコトと一緒に。
まさかこんなガンツの冒頭みたいな終わり方をするなんてな……。
…………。
チュンピピ♪ チュンピピ、チュンピピチュン──♪
「……ん?」
一度途切れた意識は、鳥の声と顔に降り注ぐ陽の光で再び戻った。
どこだ、ここ?
だだっ広い丘の上に寝転がっていた。東京にこんな感じのところはないはずだ。少なくともたった今まで駅のホームにいたはずなのに……。
風が吹き抜けていく。空は気持ちいいほどの青空だった。
そうだ! ミコトは……!
周囲を見渡す。
「うわっ!?」
すぐ真横で見知らぬ女の子が寝ていて驚いた。
「だ、誰……?」
艶やかな黒髪が頬にかかって揺れている。とても色が白くて、血色のよい頬は桜色に染まっていた。彼女はすやすやと寝息を立てている。
じょ、状況が分からねぇ……。この子は誰なんだ? てか、なんでこの子、俺と同じ高校の制服を着てんだろ、しかも男子の制服なんだけど……。
きれいな黒髪の色白でかわいい女の子──こんな俺のメッチャタイプな子がいたら絶対に顔憶えているよな……。てことは同じ一年じゃなくて先輩なのかな?
高校に入学してまだ三か月ちょっとだ。知らない先輩がいたとしても不思議じゃない。
「色々とよくわからんが、多分これって転生? 転移? したんだよな、異世界ってやつに」
異世界転生系のアニメは好きで時々見てるし、web小説を登下校中や暇な時にも読んでいて知っている。あれが自分の身にも起きたに違いない。おそらくここは異世界だ。実際に魔法が存在したり魔物がいたりするのか分らんが。
「ミコトがいないってことは……、あいつ助かったのかもな」
そうだといいなと思いつつ、はたと立ち止る。
けど、あの状況で本当に助かったのか? もしかして、俺だけ転生してあいつは死んじまったとかか? もしそうなら寝覚めが悪い。確かめようもないけど。
「ん……」
あ、起きた。
「んあぁ~」
背伸びしながらその子って言うか先輩? が起き上がる。
「あれ? ここどこ……」
目を擦りながら右見て左見て、その度に、ショートヘアの繊細な髪がサラサラと揺れた。最後、自然と俺と目が合った。
涙目のキラキラとした瞳は、青みがかった宵闇のような色をしていた。
彼女の顔を見た瞬間に、俺はドキリとして時間が止まったような感覚に陥った。
似てる……。この人、もしかして……。
「あ、あの……君は誰、ですか?」
一応敬語でそう訊くと怪訝そうな顔をされた。
「誰って、シンくん何言ってんの? これ、おれたちどうなったんだ?」
「……へ??」
ん? ん? 何、どういうこと?
「君、なんで俺の名前知ってるのかな? てか、俺??」
「誰って、何言ってんだよ。おれだよ」
「ちょ、待て待て待て……」
ちょっと理解が追い付かない。頭痛くなってきた。
俺はこめかみに指を突き立てた。
「同じ高校の、しかも男子の制服……。そしてその喋り方……。更に直前の状況から考察するに……お前まさか、ミコト??」
「当たり前だろ? シンくん、大丈夫?」
「だっ! え?? おま……!!」
俺は言葉にならない言葉を発して自称ミコトを指さし、その眼は脳がオーバーヒートしてしまったため、自称ミコトの大きく膨らんだ胸に目を落としていた。(←なぜ!?)
その視線に気づいてか、自称ミコトも胸元に視線を落とす。
「……えっ!?」
表情を凍り付かせる。震える指でその膨らみを触った。
「え? これ、えっ!? おっぱ……」
俺と自称ミコトは黙ったまま顔を見合わせた。
「えええええ────っ!?!?!?」
チュンピピ♪ チュンピピ、チュンピピチュン──♪
自称ミコトの絶叫に反応して、小鳥が呑気にさえずり返した。
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