ふぉっくすぺいん!

海鼠さてらいと。

第1話 朝起きたらキツネになっていた。

は?

何言ってんのお前?だって?


俺だって言いたいよ。

何言ってんの?ってさ。



数分前……

いつものように起床する俺。

時間を見る。うん、11時。

ニートにしては早起きだな。さて、今日はなんのオンゲーして日々を過ごそうか。

……あれ?なんか変だぞ。なんかいつもより部屋が大きく感じるような。これはアレか?なんかの本で読んだ不思議の国のアリス症候群ってヤツか?

まぁ寝ぼけてるだけだろ。俺はそんなことを考えながら寝室を出て洗面台で顔を洗った。

「いやー今日もいい天気だなー……って、あ?」

ふと鏡を見る。そこにはあどけない表情をした可愛らしいキツネの顔があった。


顔に水をぶっかける。


もう一度鏡を見る。

キツネの顔がある。


より多くの水をかける。

3度鏡を見る。


そこには可愛いキツネの顔が


「……はぁぁ!!???」

いやいやおかしいだろ!?

あれ?俺って昨日まで人間やってたよね?

確かに真人間とはいえない生活を送っていたけど!

どうしようもない底辺人生を歩んでいたけど!!

それでも人間ではあったハズだが??

おお神よ!貴方はとうとう私から人権すらも奪ったというのか!?


鏡の前のキツネはなんというか凄い狼狽えた表情をしている。そりゃそうだろう。

「夢じゃない…よな?」

試しに右手で頬をつねる。「むにぃっ」て感じに伸びた頬は鏡のそれとリンクしている。

「てか手…肉球……」

顔だけ変わったのかと思った。でも落ち着いて後ずさりして鏡に全身を移し込むと、そこには人間のように二足で立っている点を除けば明らかなキツネがそこにあった。首からお腹にかけてふわふわの白い毛、他は茶色(ここもふわふわ)。後ろにはやたらとデカい尻尾が備えられている。

「なんだよこれ…まるでテ〇ルスじゃねえか」

確かに工業高校卒だけど某キツネみたいにメカなんて作れねえぞ俺は。


「えっと……」

一通り状況を理解した上で考える。

とりあえずこのままの姿じゃ生活できねぇよな…なんとか元に戻らないと。ってどうやって?てかそもそもなんでこんな姿に?いやいや、まずこんなあられもない姿誰にも見せられな—


「お兄ちゃんおっはよー!!」

「きゃうん!?!?!?」


突然、妹が現れたのだ。

妹は学校のはずじゃ…!?

俺は全く動けずにその場で固まってしまう。

目と目が合う人間と元人間のケモノ。

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