24話 私の選択
「そう。では質問よ、もしそのキルとやらを倒した人物が見つかったらどうするのかしら?」
キルとかいう奴を倒したのは私である。そのため私にとってはこの質問がとても大きな意味を持っている。
もしも見つけてそのまま殺すと言ったら私はお姫様とその従者の事を迷わず殺す。確かに無駄な殺しはしたくないと私は考えているのだが自分に降りかかる火の粉は引火する前に消す。だからこそ返答次第ではこの2人を殺すことになる。
「我らに勧誘する。勧誘が失敗したのなら殺せと魔王様より勅命を受けている」
従者の男がそう答える。まぁ、魔王の勅命はかなり当たり前の物だろう。だからこそまだ殺すと私は決めていない。
決めていないと言っても今のままだと二人を殺すのはほぼほぼ決定事項なのだが.....
「そう....それは本当にあなたの気持ちなのかしら?」
従者の言葉の端々から悔しさ?みたいなのを感じる事が出来るし、お姫様に関しては今初めて知ったような表情をしている。そんな状況から察するに従者はあまり人を殺したくはなく、お姫様は唯の調査、と言う事しか伝えられていないのだろう。
果たして私の予想があっているかどうか....
「ッ.....」
「ハクオウ!それは本当のことなんですか?!」
私の言葉に固まるハクオウという名前の従者。というかハクオウとか漢字で書いたら白桜とかになるのかな?まぁ、そんなことは一度置いておくとしよう。
私の言葉に固まった従者だがそこに追撃になる感じでお姫様の追及が始まる。この光景を見るだけで私の予想が大まかにあっていたと言う事が確認できる。
「ええ....姫様に黙っていて申し訳ありません....」
従者は心から謝罪しているように感じ取れるのだがここは戦場である。さらには2人の目の前には私という、明確な殺意を持って敵対している強大な存在がいる。
普通に考えれば最悪の状況であるために謝罪をできる従者の精神力は見習いたいくらいである。とはいっても従者は私の魔力をあまり感知できていない様子だったので仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないのだが....
「あなた達、謝罪をするのは勝手にしてほしいけど今敵の目の前だからね?」
あまりにも油断しすぎているので私は思わずそんなことを目の前の2人に行ってしまう。魔神化して性格が異常者になってしまっている私に心配させるくらい危機感を持っていないような感じなので思わず呆れてしまう。
普通なら微笑ましい主従関係なのだが今は本当の戦場である為そんなことをしてほしくないというのが私の本音である。
「そ、そういえばそうでしたね...」
「すみません...俺も忘れていました....」
危機感がないと思っていたらどうやら私の事を忘れてしまっていたらしい。正直その言葉には少しイラついたしショックも少し受けてしまった。普通の私から見れば微々たるものなのでほとんど意味はないのだが...
そんなことは置いといて完全に忘れられていたと告げられた私はどんな行動をとればいいのか迷ってしまう。
一番簡単なのはこのまま神域魔法を使って2人を滅ぼすことなのだがそれではせっかく張った
「そう....まぁいいわ。そしたら私と一緒に暮らさないかしら?」
突拍子もない私のその言葉にお姫様と従者のその2人は固まってしまう。まぁ私もいきなり一緒に暮らさない?と聞かれたら確実に固まってしまうので2人の反応が普通の物なのだろう....ってか2人の反応が普通であってほしい...
「突拍子もないし驚くのは当然よね。いいわ今から私が誘った理由を教えてあげる」
そう一言言ってから私は2人を誘った理由を2人に教える。まずは先程までの会話から従者には今の魔王に対する不信感が、お姫様には不信感と反抗期と思われし言動があったことで魔王を嫌っているのでは?と私は考えた。
それに加えてお姫様は鍛錬をすれば私の基準の上級魔法は使えるようになると思うし、従者も神剣術LV.Ⅹくらいは覚えれると、伸びしろの塊である。そんな存在をほおっておくくらいなら私と一緒に来てほしいと考えただけである。
そのことを伝えると従者は悔しそうに、しかし納得したような表情を。お姫様は何故か嬉しそうな表情を浮かべている。
「そういうことならば
「.....確かに今の魔王様は色々とおかしいから姫様と同じく賛成である....」
お姫様は嬉しそうな表情と同じようにすぐ私の提案に乗ってくれた。そして従者の方も渋々という感じだったがお姫様と同じように私の提案に乗ってくれた。
久々に鍛えがいのある人物に出会えたし、この2人も魔王に対する不信感を確かめる事が出来るのでwinwinの関係である(?)
とまぁ、理不尽な理論は一先ず置いといて私は自分の選択肢を悔いのないようにするだけである。だから2人にさせた選択を後悔の内容に魔族とも本格的に敵対しようかなーと朧げに考える私であった....
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