君と生きた、僕の忘れることの出来ないこの1年間
白鯨
第1話 出会いの春
「はじめまして、僕の名前は 安峰 大 (やすみね だい )です。これから一年間よろしくお願いします。」
これが高校三年目の初めての言葉だった。
僕の挨拶は高校三年目だと思えないほどの平凡なものだった。
ふと周りを見ると自分のクラスは初めてみる人ばかりだった。なんていったって、この学校は県で一番のマンモス校で一学年に六百人はいる。こんなにも人数がいると想像もできないようなことがたまに起こる。
この前だって一番上の四階にいる1年生が相撲部を引き連れていっせいにジャンプをしたらしい、そうするとどうなるだろう。ご察しの通り地震が起きるのだ。
そこから付いたこの学校のあだ名が「リアルマンモス校」だ。そのおかげで今年からはこの学校への志願者も減り、その減り具合を見た先生が二階以降ジャンプ禁止の校則を作るほどだ。
そんな人達がいる中のあの挨拶をした僕は本当に普通で平凡な人だ。
そんな僕にだって高校生活最後に少しは青春をしたいと思っている。だが、部活にも入っていないし仲のいい友達も数えれるいや、数えるまでもないほどの人数だ。
高校に入ってからはいい思い出は何一つない。この学校に入って初めてついたあだ名は
「大…だい…だ…ダイ…ダイオウイカ!!」「ダイオウイカ?!」と僕も聞き返してしまった。
今までにそんなあだ名をつけた人はいるだろうか。だから度々沿岸に打ち上がるあのでっかいイカは見てていい気はしない。
どうやらこの学校に入学した人は大きいもが好きなようだ。
そんなことを思いながら前をふと見た時、初めて見た子がいた。黒髪で前髪をかきあげていて、美人と言うより可愛いの方が近いと言う感じの子だった。
「可愛い…」なんて思ってるとパッとこっちを向き
「はじめまして、私の名前は 矢島 優美 (やしま ゆうみ )っていいます!これからよろしくね!」と言ってくれた。
その瞬間に僕の顔は真っ赤になった。恥ずかしくてどうしたらいいか分からなかった。
僕もとっさに慌てながら
「は、はじ、はじめまして、ぼ、ぼ、僕の名前は…や、安峰 だ、ダイオウイカです!」と言ってしまった。
これは大事件だ。
恥ずかしさのあまり名前が「安峰 ダイオウイカ」になってしまった。高校生活でこれほど恥ずかしいことはなかった。
これが高校最後の青春をかけた僕の自己紹介だった。
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