いろは関連

@chika1217

「目についての話」

神城家の子供とその分家の子供は稀にだけどオッドアイの子が産まれるらしい。

ってお父さんに聞いた。


私、神城日和と従兄弟の三神瞬はそのオッドアイの子供だ。

けど私達は常人にはない、このオッドアイが嫌いだった。

この話はそんな私達が一歩を踏み出そうとする話。



·

·



2年前…冬休み正月


「あの…日和ちゃんに頼みがあるんだけど…」

冴えないボサボサ頭で話しかけてきたのは5才年上の従兄弟の三神瞬だ。


「何?」

「えっと、俺高校デビューしたくて…」

「はぁ?!冴えない瞬にぃが急になんで…」

「実は…これ…」


瞬にぃが取り出したのは"アイドル大募集!"と書かれたアイドルオーディションのチラシだった。


「瞬にぃアイドルになるの??」


コクコクと頷く瞬。


「俺…もうすぐ高校生だし…ずっとこのままじゃいけないと思って…

アイドルなら…この目もコンプレックスじゃなくて個性になると思うんだ。」


「ふーん、なるほどね。瞬にぃにしてはよく考えたじゃん。で、私は何すれば良いの?」


「新しい俺のイメージ画を描いて欲しい。今の俺からは想像つかない新しい俺の。」


「…わかった。瞬にぃがお願いなんて珍しいもんね。やってあげる。

でも私がやるからには瞬にぃを絶対にアイドルにするから、特訓覚悟してよね❤️」


「お、お手柔らかにお願いします…」


.


.



こうして始まった三神瞬高校デビュー&アイドルデビュー計画!


まず私が始めたのはアイドルについての研究だ。あらゆる男子アイドルの映像を見て、男子アイドルが出てくるソシャゲにも手を出した。

そうした努力もあって、瞬にぃのデザイン画が完成した。


イメージカラーは緑!5才も年下の私に弄られてて学校では優等生な瞬にぃにはピッタリだ。


まず、目立ちたくないって黒染めした髪の毛を緑にして、そしてダサい真面目そうな眼鏡を派手なピンク色の眼鏡にする!

キャラ付けはこのアイドルが参考になりそうね、実はめっちゃチャラチャラしてるチャラ男が真面目君だったら…っていう設定皆好きでしょ?


髪色が緑なのは…私が髪の毛で隠している方の目の色。自分ながら瞬にぃに託すのは癪だけど、両目を出すのが怖い私の分まで頑張って欲しい。まぁ、言わないけど!



·

·


2年前、春休み。


瞬は私のデザイン画を見て喜んだ。

そして美容院に行って髪の毛を緑に染めて、眼鏡もピンクにして本格的にオーディションに向けての特訓を始めた。


「日和ちゃん!俺、書類審査通ったッス!」

「ホント!?良かったね、瞬にぃ」

「後は実技審査ッスね…」

「私、春休み暇だから練習付き合うよ。」

「日和ちゃんの特訓厳しそうッス…」

「さぁ!まずは歌!それからダンスよ!」

「えっちょっ?!待って!!」


それから春休みは毎日のように特訓をした。

毎日バカやって…それはもうずっと楽しい時間だった。

でもそんな時間にも終わりが来る。


「ん、これあげる。」

「これって…お守りッスか?」


「別に要らないならあげない。」

「いやいや貰うッスよ!日和ちゃんの手作り!」


こうして瞬にぃは見事実技審査を通り、9人組のアイドルグループ「Reve9」のメンバーの一人としてアイドルデビューを果たしたのだ。


·


·


·


現在

冬寮、個室


「ただいまー。って一人部屋だわ、私」


ピッとテレビを点ける日和。


「次のゲストは…Reve9の皆さんです。」

「みんなー!元気っすか?Reve9の緑担当、三神瞬ッスよー!」



「ふーん、上手くやってるじゃない」


そう一言呟いた日和の表情はどこか微笑んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る