23 廃墟

 やがて忘れるだろう

 吹き込む風にふくらむカーテンも

 その褪せた色も

 忘れてしまうだろう


 窓の雨粒のなかの世界も

 誰にも教えなかった本も

 その装丁も

 やがて忘れてしまうだろう


 アスファルトの熱も

 夜の光彩も

 いますべてときはなたれ

 記憶のなかの夏はもう

 とっくに廃墟の静けさで

 やがては砂に埋もれるだろう


 忘れてしまうだろう

 廃墟の夏のこと

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