20 祭壇

 結論の違う論理がふたつあるということは、前提が異なっているということだ。ただそれだけの話だ。

 生、の取り扱いにおいて、まったく同じ前提に立つものがあるだろうか。

 ある人は、

 論理のあやまりを指摘すれば相手が考えをあらためると、いきまいたけれど、論理のあやまりを指摘したところで、それは、言葉にふくまれていなかった、べつの前提があるだけのことかもしれない。でなければどちらかがただしく、どちらかがまちがいであるのかもしれないが、あるいは、あるいは、

 議論に強いことをまちがっていないというのでないのなら、口下手の真理も想定してしかるべきであろう。

 どれだけ言葉が爪弾きにしてきたか、どれだけ文字が爪弾きにしてきたか、その、爪弾きの祭壇を、崇める、我々は、想像できない。

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