8 いつも怯えている
いつも怯えている。祈るよりは長く、考えていたつもりだった。考えるよりは長く、書いていたつもりだった。こんなささやかな文章を、いくどとなく、吐き出すだけならいつでもできた。それがどうしていつからか、迷う時間が長くなったのか。ためらう数が多くなったのか。迷子が歩くことに怯えるように、立ちすくむことが増えたのか。愚かさも拙さも知っていたのに、それを恥じるのもかわらないのに、どうして迷いが増えていくのか。いい加減にしろ、と、怒鳴りつけても仕方がない。もうやめにしろ、と苛立ちを吐き捨てても仕方がない。どこにもいけないままならば、なににもならないままならば、なにももっていないのならば、なんでもできたはずだった。
言葉を吐くのに怯えている。
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