日記―あなたを見ている―
椎名さくら
1日目
プロローグ
オレのせいだ。
取り返しのつかないことをしてしまった。
あいつ、死んじまった。
オレが合わせたから。
謝っても許されねえよな。
でも、ほんとすまねぇ。
せめてもの償いとして、必ず刑務所にぶち込んでやる。
本当にすまなかった。
1日目
今日から日記をつけようと思う。口調は気にするな。
なぜ、日記をつけようと思ったかって?簡単さ。
好きな子ができたんだ。
好きな子ができただけでどうして日記をつけるのか気になってる顔だな。安心しろ、説明は後でする。まずは彼女との出会いについて書かせてくれ。
準備はいいか?よし、始めるぞ。
これは、五日前の月曜日。俺が大学内の図書館に行った時だ。彼女が背伸びをして資料をとろうとしていたんだ。なんとなく通りかかったもんだから、とってやったんだ。その時は顔を見ていなかったよ。で、彼女に渡してやったんだ。そうすると彼女は美しい笑顔で言った。
「ありがとうございます。助かりました。」
てな。俺は一発ケーオーだったね。
そんなこんなで、彼女と出会ったのさ。
結局なんで日記をつけるのかって?せかすな、まだ後だ。
次は彼女について書き記す。
まず、身長は俺より十センチくらい低かったから百六十センチくらいだろう。髪型はロングストレートで肩に少しかかるくらいだ。きれいな黒髪だよ。すらっとしているんだが、胸はそこそこあった。おっとりとした雰囲気で触ったら壊れそうなほどはかないのに、すごく温かみがあるんだ。
大学は俺と同じ日本〇〇大学で、学部は心理学部だ。残念なことに学部が違うため、俺と被る授業はない。ファミレスでバイトをしていて、金曜日の午後の四時から、十時までやっている。他の曜日はまだリサーチ中だ。家は大学の寮に住んでいる。
以上が俺が知りえている彼女の情報だ。ここでようやく、日記をつけた理由だ。気づいている人もいるかもしれないが、彼女の情報を書き残すためだ。そして、彼女への気持ちをできるだけ残しておきたかったんだ。
明日は日曜日。俺は一日空いているから情報をかなり得られる。彼女の授業の有無も確認しておかなくてはならない。明日も早いので、ここまでにしておこう。
十二月十六日 晴れ
今日まいから相談を受けた。
誰かにつけられているというのだ。何かされてないかと問い詰めたら、
「大丈夫だよー。何かされたわけではないし。あいかちゃんは心配し過ぎだよ。」
だと。まいとは小学生のころからの腐れ縁だし、私は親友だと思っている。
まいはふわふわしていて危機感がない。それが彼女のいいところだし、かわいいところだ。顔もすごくかわいい。でも、だからこそ心配だ。
相手がどんな奴なのかも全然わからないらしい。
まいは寮に住んでいるから、部屋に入られることはないかもしれない。でも、バイト先でないかあるかもしれない。大学で何かあるかもしれない。
今日はあまり時間がなかったから、明日もう一度話そうと思う。
いつものマックで集まる予定だ。できれば相手を見つけて警察に突き出したい。そのためには、まず相手を知って情報を集めなくては。相手がだれかも分からないようでは話にならない。
それと、まいに危機感を持たせなくては。まいは無防備すぎる。
とにかく、明日からはまいを助けるために忙しくなる。気を引き締めよう。
DAY ONE
新しく日記をつけようと思う。
前は途中であきらめちゃったけど、今回は続くといいな。
今日は大学の授業で実験をしたよ。
初めて話す子が多くて緊張しちゃった。
でも、実験はしっかりできたと思う。よかった。
大学生活は順調かな。
でも困ったこともあるんだ。
最近誰かにつけられている気がする。
学校にいるときもたまに誰かに見られているきがする。誰だろう?
でも、今のところ困ってないし大丈夫かな。
困ったときに助けてくれる人もいるし。
明日はバイトがないから、気が楽だな。
でも、会わなきゃいけない人がいるし早く寝なくちゃ。
明日も頑張ろう!
がんばれあたし!
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