第23話
リシュリューのウェットスーツは素晴らしいですね!!!!!!
「さて、辿り着いたね。ここからどこに行くの?」
魔王城があるとされる大陸に辿り着いた俺は、とりあえず3人を降ろした後、着替え終わるのを待ってから師匠に尋ねた。
「ここから北に進めば見つかるらしいよ」
「アバウトすぎませんかね。流石にそれで分かるわけがないよね」
ここ島じゃないんですよ。結構大きな大陸なんですよ。方角も大事だけど目印が必要だと思います。
「私が探しましょうか?」
思ったよりも師匠が何も考えていないことに呆れていると、マリアがそんな提案をしてきた。
「出来るの?」
「恐らく。魔王は尋常じゃない魔力を持っているので、探知で見つけるのは容易な筈です」
「そうなんだ」
魔力探知とかも出来るんだ。魔法って凄い。
「というわけで再びお願いしますね」
「どういうこと?」
「運んでください」
「え」
「当然じゃないですか。いくら遠くから探知できるって言っても大陸の反対側に居たら無理ですので」
「なるほど。ここからじゃ見つからないの?」
大陸の中心ならワンチャン見つかりませんかね?駕籠を背負う時間は極力抑えたいんですよ。
「そうですね……みつかりませんねえ」
マリアは分からないと口では言っているが、口調があまりにもわざとらしい。
「分かっているんでしょ。教えて」
「何のことでしょう?私にはさっぱり」
「……何が目的?」
この大陸で皆を背負って散策する意味なんて無いと思うんだけど。
魔王城があって人は住んでいないし、観光地として有名な場所も無い。
強いて言えば魔族の街があることだけど、通貨が違うので何もできないし人間だってバレたら面倒な事になるだけだよね。
「目的なんて無いですよ。強いて言うのであれば、リシュリュー様の作る駕籠の乗り心地が非常に良いくらいですかね。あ、当然魔王城の場所なんて分かりませんよ?」
本当に何が目的なんだよ。
「とりあえず、行きましょう!早く!」
「ええ……」
不自然なまでに移動をさせようとするマリアに根負けして、移動をすることになった。
「はい」
「分かりませんね」
「はい!」
「反応はありますけどただの街で魔王ではないですね」
「はい!!」
「居ません」
「はい!!!」
「景色は素晴らしいですが魔族すら見つかりません」
「はい!!!!!!!」
「残念ながら……」
俺は大体100㎞走るたびに駕籠を降ろし、マリアに聞いたのだが、一向に見つかる気配がない。
「一体どこなんだよ!!!!」
見つからないこと、そしてマリアが居場所を教えてくれない事を嘆きながら走り続ける。
こうなったら自力で見つけてやる……
俺は全力で走るのではなく、跳んで進むことにした。
高く飛び上がればその分見える景色が広がるからね。俺はマシマシな視力を活かして魔王城を探し始めた。
「止めて!!!!!!!」
跳び始めること早10分。駕籠の中から師匠の大声が聞こえた。
「え?」
遂にマリアが見つけたのか……?
俺は慌てて止まり、駕籠を地面に置いた。
「そんな滅茶苦茶な移動をされたら吐くよ馬鹿!!!」
発見の連絡ではなくクレームの連絡だった。
「マリアが制御しているんじゃなかったっけ?」
ある程度の衝撃ならマリアがどうにか出来ると思うんだけど。
「魔法にも限度があるよ!そんな不規則に動かされたら制御にも限界があるんだからね!ね、マリア様!!!」
「はい。外が見えておりませんので、不規則な移動には対応できないんですよ」
「あっ……」
何も考えていませんでした。
「以後気を付けること!」
「はい……」
そうだよね。魔法だって出来ないこともあるよね……
「そういえば魔王城が近いですよ。あっちに進めば見つかりますよ」
「え?あっち?」
マリアが指差したのは進行方向の斜め後ろ。つまり先を行き過ぎたということである。
「あっちです」
「もう少し早く言ってよ……」
駕籠を持ち上げるのって相当な心労なんだからね。
「あんな滅茶苦茶な動きをされたら方向なんて分かりませんよ……」
「あっはい……」
完全に俺の責任だったらしい。
「別に私は構いませんよ。楽しかったので」
「そう、とりあえず行こうか。ってリシュリューは?」
駕籠に入ってもらおうと周囲を見るとリシュリューが居ない。
「しばらくしたら戻ってくると思いますよ」
マリアは可哀そうなものを思う目をしてそう言った。
「どういうこと?」
「まあ待てば分かりますよ」
それから待つこと10数分。
「お待たせして申し訳ありません」
リシュリューが戻ってきた。
「何をしていたの?」
「少々青空を眺めておりました」
「青空?」
「はい。では行きましょう」
「え?どういうこと?」
「ですから青空を見ていただけです」
「もしかして忍術と何か関係あるの?」
もしかして忍術は魔力じゃなくて太陽のエネルギーを充電して使っているとか?
「え?は、はい」
リシュリューは何のことか分からないという顔をした後、一瞬で何かを判断して頷いたように見える。
「絶対違うよね。まあいいや」
そうまでして隠したい事なんだから聞いた所で碌な事にならない気がする。
「そうしてくださると助かります」
俺の言葉に対して反応したのはマリア。何故。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます