2月10日 午後のティータイム(前編)
昨日発生した、名古屋駅にて人が刺された事件。あれから大学病院から、澤部 明彦が死亡したと連絡が来た。
「さて、古藤君。君には色々聞きたいことがあるのだが、このスマホのデータは全て君が作成したのかね?」
「そうですけど。何か問題でも。」
「君の職業は、デザイナーと聞いたよ。この計画もびっしり細部まで描かれている。驚いたよ。」
古藤はだからなんですか?といった顔をしているが前田には気に掛かっていることがある。
びっしりとした計画を立てているのに、名古屋駅の真ん中で、たくさんの人が見ている中で殺人を犯す。この意味がわからないのだ。
「どうして君は、名古屋駅で殺そうとしたんだい?」
「それは、、」
「それは?」
「澤部のよく使う駅だからだ。」
「一体どう言うことだい。」
「ここの近くに田武不動産とあるだろ。こいつはここの社長だ。」
「すごいね。若くして社長なんて。」
「ここはこいつの叔父の弟が設立した会社だ。こいつは人柄がいいからな。裏を見抜けず託してしまったわけだ。」
「、、裏って何のことだ。」
古藤の顔が赤くなっていく。
「あいつの性格の悪さだよ。あいつは、人前ではすごくいい顔しやがって。俺も信頼してたんだ。だから!俺はあいつに、、、」
どんどん内容がずれていってしまう。名古屋で殺そうとした理由を聞こうとしたのに動機を聞く形になってしまった。
それから、古藤は喋らなくなってしまった。残念だがここまでだろうと榎本も思っていた。
古藤は今日の午後留置所に送られることになった。
県警帰りの車に乗り込んだ。
「多分。誰にもいえない程の辛い思いがあったんだろう。自分が捕まっても殺せるような大きな恨みだ。」
「警部。僕も今そう考えていましたよ。とにかく、犯人は捕まっているんですし。我々の出番は多くないでしょう。」
「そうだな。同感だ。」
冷たい窓の外の風を感じながら前田は言った。
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次回: 2月10日(後編) 午後のティータイム
なるべく毎日更新予定
お楽しみに。
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