第53話 聖羅の力
「あいつ、強いな。」
紛れもなくアルフレッドを凌駕する力を目の当たりにし、ポツリポツリと悟を認める声があがり始めた。
「勝者、中野悟!」
リングを降りてきた悟に問いかけた。
「悟、上位魔獣倒した時、炎出してなかったか?」
「あぁ、なんか真剣になると炎出るんだよな。」
ふわりと笑う悟。
それって、アルフレッド相手に本気出してないってことだよな。化け物め。
これで悟の入隊はほぼ確実になった。
次は聖羅だ。
当然のことながら体格差がすごい。
聖羅もスタイルは相当いいが、それでも160センチほどだ。40センチほど差がある。
「よろしくね、アダン。」
「よろしゅうなぁ。」
一見仲良さそうに握手しているが、両者目はギラギラだ。
本能的に強いとわかっているのか。
でも、聖羅がどう上位魔獣を倒したか見ていないからな。少し楽しみでもある。
ゴングが響く。
おそらく仕掛けるのは。
「中位魔法:【エンロード】!」
やはりエンロード。アダンの定番の立ち上がり方だ。
炎に飲まれる聖羅。
が、すぐに無傷で姿を現した。
炎が消えたところを見ると、聖羅の属性は水か?
しかしよく観察すると、ところどころに氷の破片が落ちている。氷属性だ。
「属性には相性がある。エンロードが氷に防がれたことはないんだがのう。」
アダンがじっと聖羅を見つめる。初めての出来事に驚いてるのだろうか。
確かに冷静に考えると、炎を氷で防ぐというのは尋常じゃない。
「すごい威力ね!驚いちゃった!」
聖羅はどこか嬉しそうだ。
「今度は私、攻撃していいかしら。」
どこか恐ろしい笑顔。さすがのアダンも身構えている。
笑いながら、聖羅は腕を前に出す。
「待て!真白!」
悟が叫んだ。
何が起こるのか、と考えた瞬間にはリングはおろか、リング外まで氷漬けになっていた。
【全国書店にて、書籍販売中。って言いたい】俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!? ~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~ 白野 ケイ @shironokei
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