第43話 決勝戦

「はい?上位魔法?」


どういうことだ。走馬灯って魔法なのか?


「まだ未完成だが、アレトテンポという上位魔法だろうな。簡単に言うと時を止める。」


「え!時を!?」


そんなの最強じゃないか。でも、なんで俺なんかが..


「魔法力0で上位魔法を使うなんて俺も聞いたことがねぇ。だから完成させる方法もわからないけどな。なんかトリガーがあるのかもな。」


トリガー..

アレトテンポが完成すれば俺はきっと。


「ま、そんだけだ。負けたからってあんま気負うなよ。じゃな。」


手をひらひらさせ、ウーラは消えていった。

多分、俺が落ち込んでいることを知って、今教えに来てくれたんだろうな。

ウーラに多少でもイラついたことを悔いた。


そして、目標が出来た。

アレトテンポを完成させる。方法がわからなくても、必ず。



リングへ戻ると、ちょうど決勝戦が始まった瞬間だった。


決勝戦はクローカー、アダン、エヴァの三つ巴戦。


序盤はアダンの広範囲攻撃と、クローカー、エヴァのスピードが拮抗した。

だが次第に、エンロードから逃げながらクローカーとエヴァが戦う構図になった。


クローカーとエヴァも実力は互角に見えたがクローカーが上手かったのは、戦いの最中にアダンがエヴァの後ろに来るように立ち回ったことだった。

後ろに迫るエンロードに気を取られたエヴァにクローカーのレイピアがヒットし、エヴァは脱落となった。


すぐにエヴァがリングから外され、1対1となった。


しかし3戦目の疲れからなのか、クローカーは1度もミストーションを使わなかった。

結果、クローカーの強みを最大限に活かせずじりじりと追い詰められていった。


最後は小火で逃げ道を無くした後のエンロードをまともに食らい、戦闘不能となった。


「優勝は、アダン・ベスキート!」


様々な波乱はあったものの、トーナメントはアダンの優勝に終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る