第27話 奥義

迫りくる岩への恐怖で、目を閉じてしまった。


目を閉じて、どれほど時間が経ったのか。一向に岩は俺たちにぶつからなかった。


恐る恐る、目を開く。

岩の前には、アイネが1人で立っていた。


「中位魔法:豪波壁」


アイネの右手に、スマートフォンほどの透明な四角が現れ、片腕1本で岩を止めていた。


「すごいわねん!アイネちゃん!」


驚いた顔でみんながアイネを見ていた。


「わ、私攻撃はからっきしだけど、それ以外は自信あるので..」


恥ずかしそうにアイネが言った。

偉そうにアイネを心配していた自分が恥ずかしい。


ウーラもアイネを見てニヤリと笑った。

しかし攻撃は防げても、厳しい状況が続く。


ボロボロのウーラがどこまで持ち堪えられるのか。

どことなく、魔獣がイライラしているように見えた。


魔獣がバンっと地面を叩く。

浮き上がった岩がウーラを挟み、ギチギチとウーラを潰し始めた。


「ウーラさん!」

心配し名前を叫ぶが、ウーラは笑っているように見えた。


「なんでウーラさん、笑ってんだ?」


ミゲルが首を傾げる。


「ったくおせーよ。いつまで待たせんだアレク。」


すぐに笑っていた意味がわかった。


アレクの周りを凄まじい炎が纏い始める。


「しゃーねーな。美味しいとこはくれてやる。」


アレクはゆっくり目を開け、魔獣を睨みつけた。


「上位魔法:鳳凰炎帝斬」

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