第21話 戦士として
なんだか、ミーサの家が懐かしく感じる。
とても数時間のことには思えないな。
行きとは違い、暗くなった道を歩きながら考える。
城に向かうときは、あんなに素敵な仲間ができるとは思わなかったな。
ほんとうに、試験を受けてよかった。
気がつけばもう、ミーサの家に着いていた。
合格したと知ったら、ミーサはどんな顔をするだろうか。
期待で胸が躍る。
「ただいまミーサ!」
勢いよく扉を開け、ミーサの姿を探す。
執事に、ミーサは地下にいるとの情報をもらい、足早に向かった。
冷静になると執事いるのやばいけど。
俺がアレクに稽古をつけてもらった地下に行くと、ミーサは1人で佇んでいた。
「ミーサ!」
後ろを向いているミーサに声をかける。
肩がビクッとなり、ミーサはゆっくりこちらを向いた。
「あ、魁斗。お疲れ様、今日はゆっくり休んでね..」
あれ、なんだか元気がないぞ。
「今日の試験さ..」
「いいのもう、アレクに聞いたから!試験はかなり難しいもの!落ち込む必要はないわ!」
なんか話が噛み合ってないぞ?
「あの..」
突然後ろから声をかけられる。驚いて振り向くと、そこにはアレクがしょぼんとした顔をしている。
「先ほどミーサ様に試験の結果を聞かれたんです。でもあいにく結果知らなかったので、厳しいかもとお伝えしたのですが落ちたんだと勘違いしたようで..」
なるほど。
つまりミーサが早とちりしているわけか。
「すみません、魁斗さんから訂正してもらえますか。」
前から思っていたが、この人ミーサにビビりすぎじゃないか。
「ミーサ、俺受かったんだよ。」
「えぇ!?」
ミーサが見たことない顔で驚く。
その後すぐに起こった顔になった。
「アレク?」
「は、はい!」
急に緊張感出たな。
ミーサの怒りの魔法でびしょびしょになったアレクに手を合わせ、1日は終わっていった。
翌日11時。
再び城に、合格者が集められた。
「よう魁斗!昨日ぶりだな!」
よく眠れたのだろう。ミゲルも元気だ。
「みんなよく集まってくれた!全員、今日から立派な王の軍隊だ。よろしく頼むぞ。」
アレクが全員の前に立ち、言う。
やはりここから見るアレクはカッコいいな。
今日から戦士なのだという実感が湧いてきた。
頑張ろう。
「早速だが、これから魔獣の本拠地に乗り込む!死ぬなよ!」
え、いきなりすか。
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