海の底

キャスト


花傘颯早:奏瀬

花傘琴音:柊木アカネ

星月柚:らむ


【花傘家空き部屋にて】


颯「琴音…入るよ…?」


琴「…入ってこないで…一人になりたいの…お願い!!!食事は必ず作るから…今は…」


空き部屋に毛布を被り体育座りで塞ぎ込む琴。


颯「ははは、せっかく星月さんと両想いになれたのに」


琴「!!あんなの、あんなのっ……!」


颯「あぁ、あの人のが使い物にならなくてびっくりしちゃったの?ははは、私も星月さんの串刺しはびっくりした、ふふ…はははは!!っ…」


乾いた音が部屋に響く。バランスが取れずに後ろにしりもちをついた。


琴「あんな怖い状況下でそんな言い方ないでしょ!?星月さんも私も被害者なの!!大っ嫌い!!!出て行って!!」


颯「…………ふふ…何言ってんの??隠し事をする方が悪いよ。幸人さんも私も全部知ってるんだよ?二人で夜の公園デートに、外食に、私が母さんたちと外出してるときは二人でご飯作ってたもんね~?」


颯「本当、殺してやりたい。私の可愛い琴音♡」



着信音が響く_____


颯「…チッ…琴音だよ」


琴「…出てくる」


部屋を出てベランダに出る

スマホを見ると…彼だった。


しゃがみ込む


星「ぁ、もしもし」


琴「...あれ、もしかして今ベランダにいますか…?」


壁の向こうから声がした


星「あぁ…俺も今聞こえた」


電話がぷつりと切れる


【ここで区切ります】


星「まず…悪かった。あんなことがあったから男性が怖くなってしまっただろう…」


琴「………」


星「……話がある」


星「…一度しか言わない。逃げてくれ」


琴「え?」


星「…期間は二か月もあれば十分だろう」


琴「星月さん…?」


星「俺は学生の時にこの言葉を言ってやれなくて助けられなかったやつがいる」


琴「それって…」


星「…すまない。時間が無いんだ…今からする話を覚えていてくれ。二か月後だ…」



颯「遅かったね」


琴「…ごはんの支度するから、待ってて」


颯「はーい♡」


スマホをちらりと見やる

計画はこうだ


琴m{先ほどの会話はダミー。恐らくピアスか何かの装飾品及び所持品に盗聴器を仕込んでいると考えられるため基本的な会話は全てスマホのアプリで行うこと}


颯「星月さん元気だった~?」


琴m{ほら食いついた}


琴「知らない」


颯「ふふふ」


琴m{そして複数のアプリで嘘の情報を何個も会話しておく。これでどれが本当の話か分からなくさせる。そしてパスワードを付けて完璧だ}


琴「……お姉ちゃん、さっきはごめんなさい」


颯「へぇ……ふふふ、いいよ…?」


隣からすごい物音がする……


颯「じゃあごはんの支度なんてつまらないことやめて…もっと楽しいことしよう?」



光の届かない海の底で

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