第18話 事故物件
某日某所、「私」はとある職場に向かっていた
当時やたら高い家賃の家に住んでるので仕事なんて選んでられないと、少々遠いが50ccバイクで向かう
其処は遠いので車だとガソリン代もだいぶかかる場所、それにガラの悪い車だと印象も良くないので自分を律する意味でも50ccの原付で通ったのだ
其処にはクセのある五十代くらいの男性上司がいた
毎日毎日意味もなく怒鳴りつけられ、私は我慢の限界で何度も辞めようと思った
それもこれも全て家賃の為だった、異常に高い住んでたので背に腹は代えられぬ思いで仕事をした
其処は女の子も多い場所だったが、人より妬みを買う私はなるべく距離を置いて接していた
そんな気も知らずにオーナーからは異常に妬みを買い女の子と話をさせないようにかオーナー不在でも毎日1、2時間は電話で説教をされた
そんな暗い毎日のある日、昼勤務のタトゥー男子が交代時間に仕切られた狭いカーテンルームで着替えてると話しかけてきた
⚪︎⚪︎さん、ここ出るの知ってますか?
で、出るってもしかしてこれ?っと両手をダラリと垂らす
コクっと無言で頷くタトゥー男子
まさか〜!?本当に!?と思わず声を大にして言うと
何、何〜?と同じスタッフのハタチくらいの女子が話しかけて来た
いや、ここ出るらしいよと私
知ってるよ、意味ありげにニヤッと笑う女子
どうやら昨日タトゥー男子と此処の物件について調べたらしい
何やら首吊り自殺があった本物の事故物件らしい
事故物件を紹介するサイトをスマホで見せる女子
たしかに炎があがっている
や、やるぢゃん、苦し紛れにギャグを言う私
何がやるぢゃん、だよ!とクスっと笑う女子
何やら聞いたとこによるとタトゥー男子が朝出勤してきた時に、確実に1人なんだがカーテンが開かぬ暗闇にあるものが見えたらしい
なんと
横たわった女の顔が首だけカーテンルームから顔を出してこっちを見ていたらしい
タトゥー男子は気づいたものの、咄嗟に向こう気づいた事を気づかれたら不味いと思い目を逸らしキッチンへ向かったと言う
横たわってるその表情はあきらかに生きてる人間の表情ではなく、1980年代の死霊のはらわたに出てくるような真っ白で目は窪み青白い血管が浮き出たような顔な顔だったそうな
其奴は元々無口な男であったがその日は息をあげ興奮気味に私に語りかけてきた
よっぽど怖かったんだろうが密かにオカルトファンな私は相槌を打って聞き入った
その物件では、たぶん嫌がらせとパワハラだろうが私は深夜まで1人で電話番をさせられている事がよくあった
自分以外誰もいないのだが、あらゆる場所から無数の視線を感じた
私は気を紛らす為、音楽を鳴らしテレビを仕事終わりギリギリまで付けていた
最後に消灯して出る時は暗闇をなるべく見ないようにし、アルミドアを施錠し職場を出た。
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