第16話  [ビーチ]

「ん〜〜。気持ちいいねぇ。」


 オレンジと白のしましまのビキニ、エルナが両手を上に伸ばしていた。



 俺たちは今、川に来ている。マイナスになったレベルを直すためエンドで修業中に川を見つけたので休憩する事になった。


「ブヘッ!!」


 キラキラと光るエルナを見ていた俺にビーチボールが頭にぶつかる。後ろを振り返ると、胸には大きなリボン。フリフリのついた水着を着たユイがいた。


「ジロジロ見るな、変態!!」


「よく似合ってるよ。ユイ」


「う...。うん。」


 ユイはそう言って、恥ずかしそうに下を向いた。水着やお菓子は、全てユイの持参だ。旅に出るならこう言う事もあるだろうと用意していたらしい。ユイもアイテムボックスを持っているらしく。


 ……貴族だから当たり前か。金が有ればそんなに入手が難しいものでは無いからな。アイテムボックスは、高額だが半年に一回程度市場に出回る。持ってる人も多い。


「僕っ子の割に可愛いのが好きなんだな。」


「うるさい。ばか。」


 ユイは耳を赤くしながら言った。


「アルト様、私は?」


 エルナが自分の水着の谷間を強調させて、俺に近づく。ちょっ。刺激が強いって。


「似合ってるよ…。」


「ありがとうございます。」


 エルナはにこやかに笑う。ユイに誘われてエルナ達が川に入る。水で遊ぶ姿は、まるで妖精のようだった。


「ついにここまで来たよ。かぁさん。」


 俺は今までの事を思い出しながら、空を見る。ハズレスキルに産まれて、馬鹿にされて。それでも拾ってくれた人がいて………。


「アルト様!アルト様!」


「んぁ?どうした?」


「こんな所で寝たら風邪ひきますよ。」


 辺りはすっかり、夕暮れになっており、夕日が眩しい。「あぁ」と言って、俺は立ち上がる。


「明日にはレベル上げが終わって、最難関ダンジョンに行けそうだ。」


「わかりました。」


「エルナ?」


「はい。」


「………。」


「どうしました?」


「なんも無い。」


「……アルト様?」


「んっ?」


「何にもありませんわ。」


 数秒お互いを見つめ合って、フフッと笑う。こうやって、二人で時間を無駄にする。こんな日もたまには良いのかもしれない。


「そろそろ夕飯の準備しなければ、」


「俺も手伝うよ。」


 火を起こして昼に取った魚を焼く。美味しい匂いに釣られてユイが近くにやってくる。


「おそい〜〜。僕お腹ペコペコだよ」


「ユイ。明後日からダンジョン潜るからな」


「はーい……ってレベル上がるのはや!」


「エルナが手伝ってくれたからな。」


「僕も!」


「ユイはなにもしてないだろ。」


「あはははっ。」


「焼けたよ、早く食べて明日に備えよう。」


「はーい。」



 最難関ダンジョン。力・金・権力を全て手に入れる事ができる場所。夢を見る人達がダンジョンに潜る。そして、ここにも夢見る少年がいた。


   その名は、[シャルロット・アルト]

 アルト達のダンジョン攻略は、これから始まる。




〜〜〜〜〜第一章完結〜〜〜〜〜





        *あとがき*


最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。

      皆様の応援の数々のお陰で

  モチベーションを保ちながら書き切る事が

        できました。


        約30,000文字。

      少ないようで長いような。


      最弱からの成り上がり。

  ハズレスキル〈アリンコ〉は実は最強だった。

  王様?女王様?人間なんで滅んでしまえ!!


           は

           ・

           ・

           ・

        まだ続きます。\( ´˘`)/

ブックマーク・評価応援お待ちしております。


それじゃまったね〜〜〜



【作者・人外】

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