最弱から始まる成り上がり。ハズレスキル〈アリンコ〉は実は最強だった。王様?女王様?人間なんて滅んでしまえ!!週間異世界ファンタジー336位

@jimgai

一章

第1話 [旅立ちの日 目指せダンジョン制覇!]

異世界転生。僕らの世界では、そう呼ばれていた。

15年前突如現れた魔法陣によって僕は異世界に転生したのだった。


生まれ変わって、新たな夢を持つ少年。

その名は、奈多 蒼。現在の名は、シャルロット・アルト。

ひょんな事からダンジョン攻略を目指す事になった僕。生まれてから15年、スキル〈アリンコ〉は、小さな蟻になれるだけだった。

「はぁぁ......」


「アルト、お前クビな。能無しがうちのパーティには、必要ないんだ。」


パーティリーダーのトントが言った。いつも、優しいトントが申し訳なさそうにしている。


「なんで?戦力にならなくっても、料理や下調べ。俺がいなきゃ乗り越えられない所いっぱいあっただろ。」


「まぁ、そうなんだけどよ、、それでもクビだ!雑魚はうちにいらねぇーんだ。」


俺の役割を理解して、ちゃんとトントは評価もしてくれてる。こういう時、トントは何か隠してるんだ。


「レイナ。何があった?」

漆黒に輝くストレートヘア。海のような真っ青な目。すらりとした体の少女は、俺の隣に立った。


「トントさんなぁ。王様に呼び出されてな。「アルトをクビにしたらSランクに上げてやる」なんて言われて、カッ!!となって王様殴っちゃったって訳よ。ありゃーカッコ良かったわ。「俺の仲間を馬鹿にするんじゃねぇーよっ!!」て。そしたらその場に居た、アルト以外連帯責任って事で指名手配させちゃったって訳。」


「うっせぇーバラすんじゃねぇ〜よ。」

トントは、恥ずかしそうにそっぽを向いた。


「そんでなぁ。アルトにはSランクになって、ダンジョン制覇の夢があるやろ?「俺たちといたら、アルトの夢の邪魔になる」ってトントが言い出してな。その後みんなで話し合って決めたんよ。」


……ほら、やっぱり重要な事隠してた。

他にこんな良いパーティあるものか。ハズレスキルだってわかった時も「お前にしかできない事があるはずだ」って何度も励ましてくれたのは、トントだった。


「他のみんなはどうするの?」


「私たちは、人がいない山奥で隠居生活しようと思っとるよ。他のメンバーも了解してる。」


「俺も一緒に連れてってくれないのか?」


みんなが居ないと寂しくなってしまう。

俺は、まだみんなと一緒にいたいんだ。


「ごめんなぁ。それは無しや。優しいアルトならそう言うと思ってみんなで決めていたんよ。

アルトがダンジョンを制覇した時。また一緒に暮らそうや。」


そこまで読まれてたなんて、、なんか嬉しいな。

こーゆー時の、レイナは絶対に説得できない。

俺がこのメンバーと会えるのは、ダンジョンを制覇した後か。


「わかった。俺はこのパーティを抜けるよ。」


俺は、自分の荷物を持った。


「受け取れ。」

トントが袋を投げつけた。


「アイテムボックス。これ一つで豪邸が買えるぞ!

こんなもん受け取れるかよ。」


このアイテムボックスは、Aランク昇格の時みんなで出し合って買ったものだ。


「うるせぇ。さっさと行きやがれ!」


トントは大声を上げる。


やばい、俺もう、泣きそうだ。


「ナナリーとガンツは、見送ってくれないのかな?」


他のパーティメンバーだ。仲良かったと思っていたのだが。


「ナナリーは、昨日泣きすぎて目を腫らしたから、会いたくないって。ガンツは漢の別れにサヨナラは、必要ねぇって言ってたよ。」


レイナが笑いながら言った。


あいつららしいや。

「じゃぁ。もう行くね。アイテムボックス大事に使うね。」


俺は、パーティハウスを出ようとする。


「元気でやれよ。」

トントの一言で俺の涙腺は崩壊した。


「[希望のカケラ]に入って5年。みんなのおかげでここまで来れました。たくさんご迷惑もかけました.....。いままでありがとうございました。」


俺は今までの感謝を込めて頭を下げた。

ぁぁもぅ。顔がぐちゃぐちゃだ。


トントとレイナの泣き言が聞こえる。


俺は頭をあげ、パーティハウスを出るのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る