the other part
ep.xx 一夜かぎりの線香花火。してみよっか?(主人公・さやか視点混在)
◇◆ 主人公視点 ◆◇
目が覚めた時。当然ながらそこは自室のベッドのうえだった。
普段はそんなことはないのだが、秋になって少し肌寒かったのか。
俺は、深夜に目が覚めたようだった。
当然ではないのは、明らかに人の気配を感じたところだ。
――兄さん……起こしちゃったかな。
なつ海の声がした。
それも、隣から。
隣というのは、同じベッドの中に寝ているということで……。
なんで、こいつ服着てないんだ。
「……んん?」
「そんな今更驚くことじゃないと思うんだけどなー。え、てか。もしかしてだけど。覚えてなかったり?」
覚えてはない。
だが、記憶にはある。このシーン。
このシナリオは……。R18のリサマの真田なつ海ルートだ。
*
『さいッてー! よく妹のR18ルート攻略しようなんて思ったわね。……しかも、
*
そんな台詞を吐き捨てたわりには……。
シーツに包まっているため大事なところは見えないけど。
絡んだ足の滑らかな感触と、ぬくもり。
直接触れる彼女の膨らみの柔らかさと、その先端の感触がリアルに感じられる。
いや。待て待て……俺にはいちおー、カノジョが。
あ、一応って言ったら沙織にまた怒られるか。
「ふーん、ちなみに兄さんから誘ってきたんですけど……。どーする? 兄さんこのままだったら詰んじゃうかもだけど。もっかいシたい?」
あの頃とは違う。
何も知らずにR18ルートをプレイしていた。
単なるプレイヤーとして見ていた、妹キャラじゃなくて。
実の妹だぞ?
「……兄さん、わかってると思うけど。わたし、兄さんが好き。沙織さんにも、由衣にも遠慮してたけど……二番でいいし。三番でもいい。わたしは、兄さんと一緒にいられたらいいし」
――多分どんなエロゲ―よりも兄さんを満足させられると思うんだけど……なんてね
少し照れた表情、暗がりでもわかる。
なつ海の潤んだ瞳は、まっすぐに俺を見ていた。
「……あのさ。俺、たしかになつ海のルートを最初に攻略したし。そういう目で見たことがないって言ったら嘘になるけど――んッ!?」
最後まで言い終わるまえに。妹の唇がそれを塞ぐ。
強引なところは、やっぱりなつ海だなーとか思いながら。さすがに困る。
まえの短いそれではなく、彼女の小さな舌が俺の咥内をちろちろと這う。
そのたびに、頭の中で、導火線がスパークするようで。
理性が、飛びそうになる。
「兄さん、一夜かぎりの線香花火。してみよっか? なんつって、なんつって」
あり得ない。
若干、寒い誘い方の台詞もそうだが……俺の知るなつ海は、さすがにここまでエロに強引じゃない。
もっと、意外だったけど、控え目で恥ずかしがり屋だ。
だからこれは夢か……。そうだな、夢に違いない。
そう気が付いた瞬間に、ある二つの文字が俺の見る視線の下に浮かび上がる。
★★★
▶ なつ海の誘いを受け入れる
俺には、沙織がいるからごめん。
★★★
なんだこの『▶』マークは……。
絶対にダメなほうに向いているそれを、心で念じて下へと向ける。
めちゃくちゃ頑張って、下に向ける。
「……俺には、沙織がいるから。ごめんな」
そうなんとか口にした途端。
俺は目が覚めた。
さすがに隣になつ海はいなかった。
枕元の携帯端末が震えていることに気が付く。
――おはよ、アタシの彼氏さん。突然だけど、いい夢は見れましたか?
***
◇◆ さやか視点 ◆◇
さやかです。
私が、負けヒロイン確定した夏以降、親友が急に銀髪にイメチェンしたり。
実はモテる子だってわかったり。神様だったり。
――寂しいなら俺に相談してもいいよ
的な、アプローチをする男子が周りに増えたり、と。
結構困ってることも多いわけなんだけど。
いまはとりあえず。現代国語の授業中なわけだけど。
隣のその親友の様子があやしくて。ずっと気になっている。
銀色の髪を長い髪をくるくると手で遊ばせながら、ずっとにやにやしてる。
彼女の名前は、佐藤沙織。
私の親友で。いまはリードされてるけど恋敵。
「……なにさっきからにやついてんの。気持ちわるいよ」
「――だってぇ……や、でもこれはさやかにも言えないかなぁ」
そんな感じになるから触れないでいたわけだけど。
惚気顔が全開の親友に呆れてしまう。
*
『……ッ。ふざけないで!』
『――おふざけで、言えるわけないじゃない』
*
そんなやり取りをしていた、あの時の沙織はどこにいったんだか。
まぁ、幸せそうなら、別にいいんだけどね。
「ぁ……」
なにか沙織が呟く声? がした気がした。
たぶん独り言なんだろうけど。
隣にいる私にはばっちし、漏れている。
「……んー、さやかだったら、一樹。どういう選択肢を選ぶかなー……」
――さすがに……なに言ってんの。この子
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
<あとがき>
リサマ(作者はこの作品をそう呼んでます)ではお久しぶりです
じつはリサマあと数十のPvで1万Pvなのですよ。
ということで、記念に短編を……。
時系列てきにはエピローグ後です!
なつ海と主人公の関係に嫉妬した、沙織の策略になります。
……こういう一発でBADEND確定の選択肢ってありますよね。
ってエロゲあるあるのお話でした。
是非:作品フォロー /評価 ☆ /応援 ♡ のほどよろしくお願いします!
◇◆宣伝◆◇
【男子高校生✿裏垢女子やってます】https://kakuyomu.jp/works/16816927862412151265
【その初恋を、世界樹の下に埋めて】
https://kakuyomu.jp/works/16816927862129779880
二作ただいまカクヨムにて話を書いています。
リサマみたいな現代ものは裏垢で
シリアスなシーンを抜き取ったのが世界樹だと思ってください^^ よろしくお願いします。
それでは、また、いつかリサマのシーズン2を書けたら……とか夢見つつ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます