~千光年~ 島根県警、窓際事件録

西崎 碧

プロローグ 主人公と謹慎と窓際部署

後悔しても遅いのだが、俺があんな事件さえ起こしていなければ、すべては順調なハズだったんだ…

実際俺はうまくやれていた。県警の花形部署である捜査一課所属、そして弱冠27歳で手に入れた警部補という肩書がそれを証明してくれていたはずである。

後悔してもしきれない、今ではその肩書さえも失ってしまったのだから…




これは異例中の異例の出来事なのだが、俺はなんと昼休みに謹慎処分と1階級降格(警部補→巡査部長)をいい渡された。



唖然とする俺、驚く同僚。



あんな事件を起こしたのだから当然ともいえる処分だった。しかし、わざわざ公衆の面前で恥をさらさせてやろうという、汚いやり口が気に入らなかった。

そして、その昼休みという時間もいけなかった。以前からうまくいっていなかったハゲ上司はニヤニヤと俺に勝利宣言をしたかのように見つめている…


俺は、いい年になってブチギレてしまった。


机に置いてあった唐揚げ弁当を手に取り。ハゲ上司にフルスイングで投げてやった!

空を舞う白米、上司のハゲ頭でバウンドするジューシーなから揚げ、目の前で起こる超常現象に理解が追いついていない同僚たち…すべてが美しかった(感動)

イヤー気持ちよかったなぁー!………………ハハハ


そもそも起こした事件の重大さに加え、これが決定打となったのであろう。

謹慎期間は3ヶ月から6ヶ月に延長させられ、俺は元の部署から追放、まだかすかに残っていた出世の道は完全に閉ざされた。





そして謹慎明け、俺は生活安全課への移動を命じられる。県警でも屈指の窓際部署だ。


27歳俺の未来は真っ暗なのであった。

 







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る