それでも私は貴方が好きだから

第24話 嫉妬した杉山のキス

朝日の野郎めぇ。

何を思ったか知らないが俺の頬にキスをしてきた。

俺は真っ赤に赤面しながら.....医務室から後にした後。


試合終了の閉会式に参加していた朝日を見る。

いかん.....思い出してしまう。

さっきの頬にキスを。


俺は真っ赤になりながら顎に手を添える。

クソッタレな.....ホンマに。

考えながら俺は.....また赤面する。

それから見ていると横から突かれた。


(東さん。どうしたんですか?)


「い、いや。何でもないよ。本当にな」


「怪しいなぁ。東ちゃん?アハハ」


「何でもねぇっつーの。杉山」


ったくどいつもコイツも。

しかしさっきのキスがあまりに効いた。

どうしたものか、と思いながら俺は顎に手を添える。

それから考えながら目の前の閉会式を見ていると。

そのまま終わった様だ。


「終わったみたいだね。じゃあ帰ろうか」


「で、ですね」


そんな感じで会話をしながら立ち上がる。

それから移動を開始した。

そしてそのまま俺達は出口から出てから歩いていると。

杉山が俺の手を引いた。

そしてそのまま見てくる。


「ねえみんな!ちょっと長野くんと一緒にトイレに行って来るね!」


「え?あ、はい」


(はい)


そんな感じの言葉を言うが。

え?俺って別に今トイレに行くつもりないんだけど。

と思っていると杉山がジト目で俺を見てから。

ニコッとしてそのまま引き摺って行く.....おいおい!?

何するんだ!


「良いから。来て」


小声で杉山は俺を見てくる。

少しだけ眉を顰めながら、だ。

このまま暴れても仕方が無いか、と思いながらそのまま付き合う。

何でこんな目に、と考えながら。

そして男子トイレに杉山と入っ.....!?


「何やってだおま!?」


「良いから。早く個室に入るよ」


「この馬鹿!お前!」


「まあまあ。早く」


「オイオイ!?」


そしてそのまま俺はイヤイヤ言うが個室に引き摺り込まれた。

それから赤くなる顔で俺を見上げてくる杉山。

俺は???を浮かべながら杉山を見る。

ねえ、と聞いてくる杉山。

そうしてから俺の胸に縋ってくる。


「その。キスとかされたの」


「.....!?.....い、いや?」


「ふーん。誤魔化すんだね。私の目にはかなりヤバい様に見えるから」


「お前、だからと言って接近してくるな.....!?」


杉山は俺に膨れっ面を見せる。

俺はその姿を見ながら心臓の感触に.....気が付いた。

ボウッと火が点灯する様な感覚に襲われる。

困った.....。


かなり近い。

とにかく近い。

杉山が目の前に居る。


便器が後ろにあってそれが邪魔となりかなり接近されている。

仮にもコイツは美少女である。

つまりかなり意識してしまう.....!


「す、杉山。良い加減にしろ。お前らしくない。何がどうなって.....!?」


「私らしさって何だろうね。アハハ」


「.....お前な。マジに怒るぞ。戻ろうって」


「じゃあさっさと済ませちゃおっか。はいしゃがんで」


「は?意味が分からん」


「良いからしゃがんで」


俺は?を浮かべながら渋々しゃがんで見る。

すると便器に押し倒された。

それからそのまま迫って来た唇に.....唇が重なる。

俺は見開いて杉山を見た。

この.....!?えぇ!!!!?え!!!!?


「はい。初キスを頂きましたー」


ニヤニヤしながら杉山は唇を抑える。

俺は余りの衝撃に何も言えなくなりそのまま杉山を見つめる事しか出来なかった.....このアホ!?

杉山はそれから、じゃあ戻ろっか、と言ってくる。

俺のファーストキスを奪っておいてそんな軽い様ですか!?

何なのコイツ!?


「.....し、心臓が燃える様だ.....」


「それは私も同じなんだけど」


「.....何か言ったか?聞こえない。声が小さい」


「何も言ってないよ。アハハ」


「全くお前は.....お前は!」


「アハハ。私は変態だしね」


関係無いだろ!!!!?

俺は絶句しながら見る。

そんな杉山はボーッとしていた。

そしてハッとして動き出す。

じゃあ行こうか、と言いながら。


「お前.....平気なのか?こんな事をして。いや。マジに」


「変態だからねぇ」


「マジかよ.....」


絶句しながら俺は唇に触る。

唇はまだ感触がそのまま残っていた。

杉山のキスの味が、であるが。

参った.....心臓が。

困った。


「私、普段は何もしてないと思っているかもしれないけど君の事好きなんだからね」


「ですね。でもやり過ぎです」


「負けるのだけは絶対に嫌」


「だからと言っておま.....」


「嫌なものは嫌だから。だからキスされたらその倍はする」


「止めろアホ。そんな事したら逃げるぞ」


そして俺達は男子便所を後にしてから戻って来る。

それから俺は杉山を見る。

杉山は何事も無かったかの様に笑みを浮かべてから戻って行く。

俺はその姿を見ながら赤面した。

ちょいちょいと袖を引っ張って、東さん?、と見せてくる凛花。


(どうしたんですか?)


「どうもしてない。うん。大丈夫だ」


(本当ですか?かなり顔が赤いんですが.....)


「赤いのは元々や」


何故俺は関西弁みたいな事を言ってんのやら。

考えながらとにかく凛花に首を振る。

大丈夫、と強く言いながら、だ。

そして目の前を見ると。

杉山がニヤッとして俺を見ていた。


「.....」


私がファーストキスを奪ったのが嬉しい。

そんな感じで、だ。

初キスを、であろうけど。


俺は額に手を添えながら赤くなりつつそのまま首を振る。

この変態め.....マジに最悪だ。

心臓バクバクバクバクと痛すぎて何も思えない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る